母乳と創傷ケア。母乳の使い道

職場で、出産をして母乳育児をしている同僚(CNA)がいます。

今日、その同僚(CNA)と、私の鼻炎と最近不調な耳の話をしていました。一年に何回かは鼻の調子が悪くなって、鼻をかんだりすると、耳がやられそうで怖いです。

丁度クシャミが連発で出て、「ああ、鼻炎で耳がやられそうで怖い」と言うと、その彼女が「今度、冷凍している私の母乳を持ってくるから試してみて!」と言いました。

「た…試してみて」とは…?

「入れるのよ、耳に、子供用の薬のスポイトみたいので。まあ、2滴くらいでOKだと思うよ」と。

私は個人的にこのCNAが好きだけど、いくら好きとは言え、貴方の母乳を私の耳に…?苦笑

ないでしょう!

彼女は、いかに、そのまた同僚のマリアの友達が、マリアの母乳で中耳炎の痛みが緩和されたかを説明していました。自分(母親)か子供かは聞きませんでした。どっちでも同じだから!

確かに、母乳は、自然の抗生剤と言われます。

しかし、糖分も含まれてるわけで、子供が中耳炎になったら、母乳を試してる場合じゃなくて、どうか医者に連れてってくださいますよう。昨今では、中耳炎=抗生物質では無いケースも多々あるようですが、それでも、家で耳に母乳入れてないで、ちゃんとお医者さんに診て貰って欲しいです。

将来のある大切な子供の耳がcomplication を起こすことがありませんように…。

さて、母乳のもっと違った使い方として、wound healing系の使用は効果的なようです。

母乳が効果を発揮するくらいのwound は、母乳をつけてあげなくても、自然治癒力でどのみち治るのですが… それを言っちゃったら始まりませんね!

2019年のリサーチで、母乳そのものを炎症のある皮膚に直接つける(優しく塗りこむ感じです)のと、1%濃度のハイドロコルティゾン(ステロイド剤のクリーム)を一日2回つけるのとを比較したものがあります。母乳をつける頻度は、母乳をあげる度に、あげ終わった際にその都度つける、ということで、ステロイド剤よりは、一日につける頻度が多いです。

アトピー性皮膚炎の乳幼児に試した結果、母乳は、ステロイド剤をつけるのと同じくらいの効果があった、との報告が出ています。

また、乳幼児のダイパ―ラッシュ(おむつかぶれ)にも同様に効果的だったようです。

また、母乳をあげる際に、乳首を噛まれたりして痛かったり炎症を起こしたりする場合にも効果的ということです。

そして更に、母乳は、角膜上皮細胞の厚さを保ち、乾き目等の治療に使用されるとされるcyclosporin軟膏(免疫調整物質)と同じくらいの効果を発揮するという報告もあります。

1%Hydrocortisoneも少量を短期で使用する場合は「それほど」悪影響はありませんし、cyclosporinも比較的副作用は少ないとされてはいますが、やっぱり、つけなくていいのなら、出来るだけつけたくはないです。

母乳を目に入れるのは、耳に入れるのと同じくらい勇気がいるし、きっと私だったら怖くて入れないです。が、それでも、このように、母乳の成分が肌の炎症に効き、ダメージを受けた細胞の修復に効果的だという事が明確に研究結果として報告されているということです。

さて… 同僚は本当に私に冷凍の母乳を持ってくるのだろうか…。こういう時は、間髪入れずにささっと「要らないよ~」と言うのがいいのに、言えなかった…。

でも、心のどこかで、「シャーレに寒天つくって、菌を増殖させて母乳かけたらどうなるかな…」と思ってしまいました。

Reference

Witkowska-Zimny, M., Kamińska-El-Hassan, E., & Wróbel, E. (2019). Milk therapy: unexpected uses for human breast milk. Nutrients, 11(5), 944. https://doi.org/10.3390/nu11050944