■褥瘡の洗浄#100

先日、創傷と洗浄について書きましたが、ここでは褥瘡についてふれてみたいと思います。

患者さんに褥瘡がある場合、褥瘡に限らず、どんな創傷でも、最初のアセスメント時には、絶対にN/S(Normal Saline)で洗ってから状態を見ます。

患者さんが外来の場合は、やっぱり洗浄します。

創傷の治療に洗浄は基本的にセットで入っていますが、入院患者さんの場合や、Long-Termにいる患者さんの場合、それが褥瘡だったら、状態によっては、オーダーには洗浄を入れません。

あくまでも「状態によっては」です。

状態によっては、「洗浄」=「これって、ただ濡らしてるだけじゃない?」みたいな状況もあって、そういう時は、外したりもします。

しかしながら、オーダーに含まれていなくても、見た際に必要と感じたら、洗浄はするのですが、オーダーの詳細は、日々のフロアの看護師タスクになるので、そこで入れる場合と入れない場合があるということです。

またひとくくりに、褥瘡と言っても、ステージ1やDTI (Deep Tissue Injury) の場合は、創床そのものがありません。(Pressure “ulcer” ではないわけで、それが、2016年にPressure “injury”に統一されたことで解決するのですが、世間一般の現状(保険申請用のMDSも)は未だPressure Ulcerです。) この場合は、オーダーには勿論洗浄は含まれません。場所によっては「肌をきれいにしてから」みたいな感じのはあります。

エビデンスとしてはどうでしょうか。

ここにCochraneのシステマティックレビューのリンクがありますが、それによると、褥瘡の洗浄に対して:

創洗浄と非洗浄を比較した研究はなかった。”とあります。

N/Sと他の洗浄液等を比較した結果はあるようですが、上記のように、研究そのものがないわけで、これは創傷治癒に関する研究が足りていないと盛んに言われている事の一片とも言えます。

タイトルは「Wound cleansing for pressure ulcers」

日本語では「褥瘡に対する創洗浄」というタイトルになっています。

日本語への変換も可能になっていますので(日本語、というリンクを押して下さい)、もし興味のある方はご覧になってみてください。

レビューは2013年のもので、数年経過してしまっているため、その分、信ぴょう性には欠けますが…。

Reference

Moore, Z. E. H., & Cowman, S.Wound cleansing for pressure ulcers. Cochrane Database of Systematic Reviews 2013, Issue 3. Art. No.: CD004983. DOI: 10.1002/14651858.CD004983.pub3. Retrieved from: https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD004983.pub3/full#CD004983-abs-0001