■コンプレッション・ソックスに代わる物★と、訪問看護師さんの重要性 #50

今日は、訪問看護師さんに電話をしました。

クリニックを訪れた70代後半の女性の患者さんが、医師にコンプレッション・ストッキング(ハイソックス)を処方されたようなのですが、下肢の腫れの状態は特に変わっていないし、聞いたら「あんなの、できない。履くのはほぼ不可能」との答えでした。

確かに…。私も以前ここで、自分用に買ったコンプレッション靴下(ハイソックス)の話を書きましたが、一日の終わりが気持ちいい!のではありますが、朝、それを履くのに1,2分、余計に時間がかかるので、一分二分を争う朝は、「あ、時間無いからこれは今日無理」と思う日もあります。

この患者さんは、静脈瘤のスペシャリストの予約があるにはあるのですが、日にちが先で、同時に静脈性潰瘍もあるので、それまでの間、ちゃんとコンプレッションしておく必要があります。

それでは、代わりの物を、というわけで、出したのが、メピレックスのドレッシング材で有名なmolnlycke社(メンリッケ社。スウェーデンの会社です)で出している、Tubigripという筒状のバンドエイド(と言っても足カバーです)にすることにしました。

テュビグリップの圧力は、15~18mmHgくらいで、処方された20~30mmHgには及びませんが、無いよりいいし、二重にしたらその倍の圧力がかかります(そんなに圧力要りませんが)。二重にしたら、それこそ履くのは不可能に近いと思います。

扱いも、筒状で上下が開いてるので、なんとかこの患者さんも、指導次第で慣れてくれるのではないかな、と思います。

ちなみに、エースラップ(ACE wrap)は、包帯等を保護的に巻いてるだけで、ほとんどコンプレッション効果はありません。巻き方によっては(引っ張りながら巻く)多少圧力が出ます。

そして、時々カラフルな色で売られているCoBANは、時間と共に緩んできて、そもそも用途が違います。

そして、改めて、訪問看護師さんの重要性を感じたのでした。

訪問看護師さんの訪問回数は、特殊なドレッシング材を使用しているとか(NPWTとか)、患者さんやご家族にケア能力が無い場合を除き、保険適用内での訪問は、週一回程度になります。なので、毎日毎日のケアを頻繁に指導できるわけではなく、フォローが容易ではないのが現実なのですが、それでも、クリニックを訪れる頻度よりは高いわけで、訪問看護師さんの協力があると無いとでは、アウトカムの違いに差が出ます。

この患者さんには、訪問看護師さんから、改めてコンプレッション・ストッキングについての指導をして頂くことになりました。そして、それに加え、足を出来るだけ心臓より高くあげること、きちんと潰瘍のガーゼの交換をすること、スペシャリストの予約を忘れないようにすること、との細かい箇所のフォローもしてもらうことになっています。

この患者さんに、前回クリニックに来た際、潰瘍も小さくなったし、ドレナージも少ないし、これからは、交換頻度が低いフォームのドレッシングにしましょうか、一日二回のガーゼ交換は大変でしょ?と、メピレックスのドレッシング材に替えたところ、後にクリニックに電話があり、「どうしていいのかわからない」とのことでした。

クリニックで一通りの指導はして、その時は、質問も無いとのことだったのですが… 結果「はい、じゃあ、今まで通り、一日二回のガーゼ交換でいいですよ~」としたら、「それなら出来る。ありがとう」となりました。。。。。。

簡単な方法で…と思っても、本人にとっては、こちらの思う簡単は、必ずしも簡単な方法じゃない、ということなんですね。