オキシドールで傷洗浄しない、は賛否両論

今日は、近くのスーパー(グロッセリー・ストア)でこんな棚を見かけました。

手袋とガーゼが上にあって、この商品の置き方から見て、傷のケアのためのセクションを作っていると思われますが、そしてその下に、オキシドールとアルコール液が置かれています。

洗剤売り場に比較的近かったので、年末のお掃除セクションかな、と思ったのですが、傷ケア用のガーゼがあった点、傷ケアに使用するような手袋、それに値段のタグに”〇〇ケア“とあることから、やはり傷のケアセクションのようです。

見ていて(年末の混雑で、レジの列が長くて、並びながら見ていました)思ったことは、傷ケア用商品と掃除用商品は、同じようなカテゴリーだよね…って改めて何だか面白いな、と思いました。

さて、このオキシドールですが、人間の体がこれ程細胞レベルで研究されている現代に於いても、これに関しては未だに賛否両論があります。

漂白材なのに傷洗浄に使われているDakin’s solutionなどと同様に、傷のケア用に使用する人は多くいて、医師でさえ普通に使用しています。30代の外科医が術後にハイドロジェン・ペロキサイドを使用しているのを見たことがあるので、年代にはあまり関係ないようです。

日本ではオキシドールと呼びますが、英語で「hydrogen peroxide(ハイドロジェン・ペロキサイド)」と言って、一般的にもみんな「ハイドロジェン・ペロキサイド」と呼びます。

オキシドールを傷口につけると、白い泡々と共に、ジュー!ってしみて「うわ~っ!」っていうあの感じがいかにも効いてる~!っと子供の頃は思っていましたが、昨今では、ほとんど傷には使われなくなりました。

オキシドールは何故傷のケアに使用されない?

オキシドールは、殺菌作用とに働く過酸化水素成分が、傷口の細胞の酸化還元バランスを狂わせ、健康な皮膚組織の成長にまで悪影響を及ぼすため傷の治りを遅くしてしまいまうという理由から、今現在では、傷の治療にオキシドールは使用しない、というのが普通になっていて、感染していない傷には、基本的に生食水を使用するのが一般的です。

しかしながら、しかしながら、下記のような最近の研究(2017)もありましたので、興味深く、ここに挙げておきたいと思います。サイトにはアブストラクト部分しか出ていませんが、この研究、早い話が「適切に使用したらオキシドールは傷のケアに有効である」というようなものです。
興味のある方は、下にリファレンスを載せておきますので、続きを読んでみられたら良いと思います。

というわけで、今日は、この棚の品揃えは、オキシドールの傷への使用を肯定しているということだよね、と思って写真に撮ってみました。

Reference
Zhu, G. & et al. (2017). Hydrogen Peroxide: A Potential Wound Therapeutic Target? Retrieved from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28384636