PICOドレッシング(陰圧閉鎖療法)

Smith&Nephew社から出ている、NPWT(Negative Pressure Wound Therapy)のドレッシングにPICOドレッシングというのがあります。使い捨てなのでNPWTに小文字のsが付いて(Single use の s)、よくsNPWTみたいに書かれています。

当ブログは、2年以上前(2019年5月)に書かれたものだったので、この度、内容を更新しました。その間、商品自体のスペックもアップデートされています。例えばチューブなどは、肌に押し付けられても大丈夫なように平べったい柔らかいものに改良されています。下の写真に見えるチューブは、改良前の、以前の丸い少し固めのチューブのものです。実際はそれほど固くはなかったですが、より柔らかいものに変わっています。

PICOドレッシングのパッケージ

中味はこんな感じ。これはパンプ入ってないドレッシング材のパッケージです。

PICOドレッシングは、電池で動くパンプが不随しています。7, 8 cmくらいのサイズのパンプデバイスが一緒に付いてきます。

PICOドレッシングの使用に適しているのは、膝や腰の手術(Hip or knee replacement)等の、縫合された手術サイトです。帝王切開後のサイトにも向いています。

逆に、静脈性潰瘍などにはあまり向いていないと感じています。大きな違いは、潰瘍のドレイネイジと、術後のドレイネイジのキャラクターの違いです。術後のドレイネイジはsanguineousやserosanguineousで比較的さらっとしていて、時間と共に少なくなっていきます。実際、PICOドレッシングのフォーム内には、最初の一日目の段階でドレイネイジがピシッと吸収されます。

うちに以前いた1人の外科医の先生が、術後のPICOドレッシング使用をとても気に入っていて、膝の手術の後には毎回使用していました。

PICOドレッシングは、前述のとおり、術後1,2日目に出るドレイネイジをきちっと吸い取ってくれて、ドレイネイジが落ち着いた後は、手術箇所を同じくきちっと保護してくれるフォームベースのドレッシング材、という感じになります。

3日目くらいにリハビリに移って来た時点で見ると、どの患者さんも大体、PICOのドレッシング内に、きちっと術後のドレイネージが収まってる、という印象です。以前は、その時点の量をペンでマークしたりしたこともありましたが、1~2日目以降もドレイネージが出続けるケースはないので、マークは不要と思って、今はしてません。

PICOドレッシングは色々なサイズが用意されています。長方形のサイズ4″x8″, 4″x11″など、サイズは10種類くらいあります。随分前から、肘などの比較的使用が難しい箇所にも対応できる形のも出ています。

外科医が気に入って使用する理由として、PICOを貼っていると、入れ替わり立ち代わり担当になる看護師が各自の判断でテキトーな好き勝手なケアを施さない、というのもあるんじゃないかと思っていました。

外科医の先生だって、自分が施した手術の箇所を、看護師にテキトーなドレッシング材であれこれいじられたら嫌じゃないですか。厳密的に考えてこれはある意味医療ミスに繋がる内容なのですが、PICOドレッシングが貼られていると、このような危険性を回避することができます。

PICOは、大体3~7日間くらいで交換ですが、膝や腰の手術をした患者さんは、通常7日の予定でPICOを貼り、その後、フォローアップのアポイントメント(受診)で外科医が交換なり、D/C(Discontinue) なりを決めます。

時々、エアリークがあった場合にパンプの消耗が早くなって、5日間くらいで止まってしまう時があるのですが、「電池の消耗」というわけではないので、電池を交換する必要はありません。実際は、術後3,4日経つと、ドレイネイジは止まっていることが殆どなので、5日目あたりで止まっても、手術箇所は安全に保護されています。が、念のため、外科医に連絡を入れると安心です。

ですが、フロアの担当看護師は、デバイスのランプが点灯しているとちょっと大騒ぎをします。電池を交換しても、原因は電池切れじゃないので、と、看護師に何度も説明はするのですが、伝わっていない場合も多いです。説明書きもきちんとありますが…。

Smith & Nephew社のレプの人も、「パンプが止まっても、ドレイネイジが落ち着いていたら(止まっていたら)、その後は普通のドレッシング材だと思って使用を継続して下さい。」と言っていました。

大体止まるであろう時期を把握するために、パンプにシャーピー(パーマネントマーカー)で、使い始めた日にちを記入しておくと良いです。この記入がなかったら、上記ドクター鬼のように怒ります(汗)。

PICOドレッシングは、先述のとおり、ジュクジュクのウェットな創傷用のものではありません。陰圧は80mmHgで、一般的な125mmHgのNPWTより低めに設定されています。

また、フォームのドレッシングと同じように、ドレイネージは基本的にその局部にとどまっているわけですから、潰瘍系に使用する場合は、ドレッシング材の交換頻度も調整が必要です。