このページの目次
- 介護者の方ご自身のケア
- 介護用品、この3つは必須
- この他にもあると便利な物
依頼されて、これから在宅で介護を始める方のお宅を訪問しました。80代の男性と、70代の奥様。奥様がご自宅で介護をされるとのこと。週に2回のヘルパーさんがあるそうです。
患者さんの状態は皆さん、違いますので、一概に、これが必要あれが必要と、決められるものではありませんが、ここでは、創傷治癒の観点から、そして、介護される方の負担が出来るだけ少なくなるように、と思いながら書いてみたいと思います。
介護者の方ご自身のケア
介護者の方の負担が大きいと、精神的にも介護が辛くなり、介護される側の方につい辛くあたってしまったり、悪循環に陥りやすくなります。
看護には、Family Centered Care という言葉があります。患者さんを中心に家族がいて、家族のメンバーそれぞれが相互に影響しあって、状態が良くなって行ったり、また逆に悪くなって行ったりすることから、「患者」には家族も全部含まれる、というコンセプトです。
また、体勢などに無理があると、腰や腕を痛めてしまったりして、介護に支障が出てしまったりするので、無理は禁物です。
介護用品、この3つは必須
1.手袋
なんだ、そんな物?と思われるかもしれませんが、これ無しに介護は始まりません。と私は思うのです。
これが有ると無いとでは、もう天と地の差くらい違います。お掃除や便の処理等に対して精神的な負担がある方は、それが半分以下になるくらいです。
手袋は手袋でも、看護用手袋じゃないと作業しにくいかと思います。サイズもちゃんと自分に合った物を用意しましょう。介護者が複数の場合は、S, M, Lとあると便利です。
2. 部分用、防水シーツ
英語では、chux(チャックス)と言います。使い捨てもあれば、洗える物もあります。
尿や便が漏れてしまった際、シーツを全取り換えしていたのでは、とても大変です。
また、体位を変える際、手で押したり引っ張ったりして体の向きを変えたりするのは、とても力が必要になります。介護される側の方の体が大きな場合、そして、その本人がご自身で動くことが出来ない場合、ほとんど無理に近いです。
そんな時、これがあれば、比較的容易に体を転がしてあげることが出来て楽です。その目的の場合は、使い捨てでは破けてしまうこともありますのでご注意下さい。また、サイズもあまり小さいと体位を変えてあげるのも容易にできません。ベッドや布団の幅と同じか少し小さめくらいがよいかと思います。
無ければ、小さめに折ったシーツを敷いてもいいです。
英語で、Comfort Glider (カンファ-ト・グライダー)という、手で引っ張る取ってがついた敷物があります。購入価格は数十ドルですが、繰り返し使えて、患者さんが動けない場合、体位を変える時に、とても便利です。
3.枕
これまた、なんだ、そんな物?と思われるかもしれませんが、必需品と言えるでしょう。5つくらいはあるといいです。
頭の下、体を横から少し持ち上げたりする際(臀部の床ずれ防止です)、枕を入れてあげます。(かなりギューッと深めに入れないと、すぐに横に抜けてきてしまいます。)
また、踵の褥瘡予防にも使用できます。踵はシーツにつかないように(空中に浮かせている感じ)ふくらはぎ部分に入れてあげるといいです。枕に踵がついているとあまり意味がありませんので、つかないように。(踵の褥瘡は、一旦出来るとなかなか治りません。毎日のように皮膚の状態をチェックしてあげてください。)
病院用ベッドを使用される方は、時に、肘が常に下がっていたりする場合があります。人によっては、肘に水分がたまってしまうので、そんな時、下に枕を置いてあげたりするとちょっと気持ちいいと思います。腕を枕にのっける感じ。
この他にもあると便利な物
ポータブルトイレ(ベッド脇トイレ)
英語では、commode (コモード)と言います。お部屋からトイレまでが遠い場合や、夜間に便利です。
男性の場合は、おしっこ用のしびん
英語では、urinal (ユリナル)と言います。安価なので、2,3個あるといいです。なぜかと言うと、1つの容器に尿が入っていて、まだ捨てられていない場合、またそれを使用しなければいけないとなると、斜めに傾けると溢れて来て大変です。
ワイプ(身体拭き・お尻拭き)
最近の医療施設では(少なくともアメリカでは)、体を拭く際(特にお尻回り)に、タオルが使用されなくなりました。数年前まではまだ使用されていましたが、タオルが皮膚を傷つけてしまうという理由から、ローションなどが含まれたワイプが使用されます。
人口肛門をお持ちの方は、このローション付きは逆にデメリットになりますので、ストーマの周りをローション付きワイプでは拭かないようにします。
歩行器
英語では、walker (ウォーカー)と言います。出来るだけ歩くのをやめないほうがいいです。頭の刺激にもなりますし、一旦歩くのをやめてしまうと、歩けなくなってしまいます。
ウォーカーは、多機能のからシンプルな物までピンキリですが、家の中は、出来るだけシンプルな物がいいかと思います。そこはお好みで。でも、高さなどは、きちんとその方の腕の位置に合った物をお選び下さい。
その他、介護用品はきりがないくらい多岐に渡りますが、必要になったらその都度用意されるようにしたら良いと思います。