Pale Colored Hyper-granulation Tissue/白っぽい色をした過剰肉芽

Hypergranulation tissue  (過剰肉芽)と言えば、通常は、赤く盛り上がり気味になった肉芽で、時には出血もしています。

フロアのナースから、「乾いた瘡蓋(scab)が剥がれ落ちそう」という連絡があったので行ってみました。確かに95%くらい剥がれています。

ほとんど完全に剥がれてぶらぶらしている瘡蓋(scab)は簡単に取り除けたのですが、その下から出てきた皮膚組織は、通常かさぶたの下に見られるようなものではありませんでした。サイズは小さいです。1.2㎝x0.8㎝くらい。ボコボコした、まさに「Beefy red」のグラニュレーション組織です。ですが、Scabが取れた場合、普通はこんな感じじゃないです。Scabの下にあるのは、せいぜい「pink and moist」な感じのtissueで、もう少しおとなしいです。

面積いっぱいにGranulation tissueがハイパーな感じである中、白っぽい組織もあります。これは何でしょう。写真等でお見せできないのが残念ですが、それにとても近い画像を見つけたので、参考に挙げてみたいと思います(参考サイト)。白っぽい色のHypergranulation Tissueが映っています。

写真には、白っぽい色をしたHypergranulation Tissueが黒い矢印で示されています。説明があって、この白っぽい部分は「neovascularization」の最中、つまり新しい血管組織が形成されている途中ということのようです(Diller & Tabor, 2022)。

実は、この患者さんは、癌を患っていて、その瘡蓋(scab)の近くが患部です。癌細胞は、自分でどんどんサバイバルに必要な血管組織を引っ張ってこれるという性質があるので(angiogenesis)、この白っぽい色をしたneovascularization途中のHypergranulation tissueも、そういうことなのか、と思いました。

サイズが小さいので顕著には見えませんが、Periwoundが微妙にぐちゅぐちゅっとしています。要モニターという感じです。

Reference

Diller, R. B., & Tabor, A. J. (2022). The role of the extracellular matrix (ECM) in wound healing: A review. Biomimetics (Basel), 7(3), 87. doi: 10.3390/biomimetics7030087. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9326521/#:~:text=The%20extracellular%20matrix%20(ECM)%20is%20a%20critical%20structural%20component%20of,the%20%E2%80%9Cwound%20healing%20cascade%E2%80%9D.