Biosurgical Debridement: Maggots (マゴットセラピー)#300

■Biosurgical Debridement: Maggots (マゴットセラピー)

■自然界から訪れるMaggots

■Maggotsセラピーの注意点

Biosurgical Debridement: Maggots (マゴットセラピー)

Maggotsによる治療は、Biosurgical debridementと呼ばれます。SelectiveかNon-selectiveか、と聞かれると、Selectiveなdebridementです。

医療従事者の中には「Maggotsが創傷の壊死した皮膚組織を食べてくれる」と思っている人もいます。しかし、Maggotsのデブリーメントは、Maggotsの排泄物中に含まれるタンパク質分解酵素によるものです。そのタンパク質分解酵素が、創傷の壊死した皮膚組織を溶かしてくれます。(Leaper et al., 2011)

自然界から訪れるMaggots

マゴットセラピーを取り入れない病院でも、時々、自然からの同様な虫と共に入院される患者さんがいます。路上から来た虫なので、勿論、無菌状態で医療用に育てられたマゴットではありません。多くの場合、運ばれてくるのは、創傷のあるホームレスの患者さんやホームレスの状態に近い患者さんです。

虫がついた状態で、割と早い段階で運ばれてきた患者さんの場合、ERで虫を洗い流すと比較的状態が良い創傷が現れます。患者さんの状態にもよりますが、創傷は比較的浅くて、早く治ります。

時間が経過した状態で運ばれてきた患者さんが以前いましたが、同じく自然界から来た虫は、創傷の奥深くまで入り込んでいて、いくら洗い流しても中から中から出てきます。気のせいか、段々サイズも大きく成長しているんじゃないか、と思われました。もうこの状態になると病名が付きます。こうなると、油分で窒息させるとか、殺菌用のソリューションを使用する、とか、いろいろやってもあまり効果はありません。

この方の創傷は足だったこともあり、amputationになりました。その状態まで放置できるということは、既に足の皮膚に感覚が無いということです。

Maggotsセラピーの注意点

  • Purfusionの状態が悪い創傷には使用しないこと
  • 健康な皮膚組織に接触させないこと - 出血のリスク
  • 血管に接触させないこと ー 出血のリスク
  • 足切断リスクのある感染症に使用しない

(Bryant & Nix, 2016)

手元にある創傷ケアの本 (2016) には、Maggotsによるケアは、他のタイプのデブリーメントの方法(debridement methods)よりも良い結果が得られるわけでもない、とありました。(Bryant & Nix, 2016)

きちんと使用すれば効果が高いデブリーメントと言われていますが、以上の点を踏まえても、それ以前でも、Maggotsを使用しての治療は、少なくとも私の職場では実現性が低いような気がします。

だって… 正直なところ、マゴットの処理は本当に気持ち悪いです。ERなどで勤務する人は、遅かれ早かれ、必ず遭遇するマゴットです。

Reference

Bryant, R. A., & Nix, D. P. (2016). Acute & chronic wounds: Current management concepts (5th ed.). Elsevier

Leaper, D. J., … Gottrup, F. (2011). Debridement methods of non-viable tissue in wounds. Advanced Wound Repair Therapies. https://www.sciencedirect.com/topics/biochemistry-genetics-and-molecular-biology/maggot