Placenta Biologic Dressing プラセンタ由来のバイオロジックドレッシングをグラフト

■Biologic Dressings & Bio-engineering Dressings

■術後のケア

感染症になった踵の骨を切除した患者さんがいました。骨髄炎(osteomyelitis)があったため、IVの抗生物質が6週間、投与されています。

創面(wound bed)には、プラセンタ由来のbiologic dressingがかぶせられました。Biologic dressingは、Periwoundにステープラー(医療用ホッチキス)で留められていました。

■Biologic Dressings & Bio-engineering Dressings

Biologic dressings examples

人間の体の組織からのものは「allograft/同種移植」です。allograftは、死者や健康な人間、どちらも含まれます。

EPIFIX by MIMEDX – provides biocompatible human extracellular matrix。必要な各種プロテインが詰まっているようです。(パンフレットより)

GRAFIX by Smith & Nephew – GRAFIX, GRAFIX PL, STRAVIXの説明、違いについてのS&N社のウェブサイト → https://www.grafixpl.com/sites/default/files/2021-06/GRCE51-22545-0321_GRAFIX_Whitepaper.pdf

STRAVIX by Smith & Nephew – GRAFIXとの違いは、厚さと強さ(耐久性)に優れている点です。厚さは1~3㎜で、容易にperiwoundに留めることができます。頭からつま先まで、腱や靭帯、骨などにかぶせたり巻いたりできるようです。治療が難しいまた進まない潰瘍などにも使用されます。(パンフレットより)

Affinity by Organogenesisnot-dehydrated, from fresh amniotic membrane. 独自の保存プロセスに特長があるようです。(ウェブサイトより)

Bioengineered dressing examples

Apligrafは、新生児の包皮由来の人口の皮膚組織です。生きたfibroblast細胞が「bovine/牛」のコラーゲンマトリックスの中で培養されています(Tottoli et al, 2020; Zaulyanov & Kirsner, 2007)。そのため、こちらは「xenograft」です。xenograftというのは、異種移植です。この場合は、「bovine/牛」のコラーゲンマトリックスの中で培養されたとのことなので、異種(動物)ということになります。

Apligraf by Organogenesis – 1998年(25年位前)にアメリカで初めてFDAに認可された人口皮膚商品です。培養されたfibroblast細胞及びkeratinocyte細胞で、2層の皮膚組織が含まれています(Tottoli et al, 2020; Zaulyanov & Kirsner, 2007)。ウェブサイトの写真を見ると、たった半日でepithelial tissueがmigrateしているのがわかります。写真のウェブサイト:https://apligraf.com/apligraf-overview/

TRANSCYTE (旧名:Dermagraft-TC/1998年にFDAが改名を認可しています。FDAサイト) with 10% calf serum (Mensbridge, 2020).

There are many more skin substitute products in the market. Here is a link of Anthem Blue Cross medical policy about insurance coverage. If not covered by insurance, skin substitute is a pricy treatment. You can see more product names and private insurance policy samples in this paper. (https://www.anthem.com/dam/medpolicies/abc/active/policies/mp_pw_a053309.html)

■術後のケア

Biologic graft をかぶせた後は、ほとんどの場合、NPWTでケアすることになります(参照文献を後で載せます)。Biologic dressingをかぶせると、wound bedが赤黒くなる場合もあって、これにNPWTをしまっていいのか?と心配になることがあります。赤黒い場所が、ぱっと見、黒いエスカーのように見えてしまうからです。通常NPWTは、クリーンな、綺麗な赤い色のwound bedに対してするというのがスタンダードです。

Stravix (Smith & Nephew) のパンフレットを見てみてください。(→こちら)Biologic dressingをかぶせた部分が黒っぽくなる状態がわかると思います。

うちの病院は、立地的に入院の受け入れ医と外科医が離れているので、このような状況だと受け入れ医(内科医)が心配してしまいます。なので、Biologic dressing使用後はwound bedが赤黒くなる場合があること、また、外科医がフォローアップしてくれるスケジュールになっていること、をお知らせすることが大事です。じゃないと、大事をとってNPWTを外したほうがいいんじゃないか、ということにもなったりします。

NPWT使用中、キャニスター内のドレイネイジを確認することができます。ドレイネイジの色がクリーンな感じでwound bedからの悪臭も無い場合は、たとえwound bedが多少クリーンな見た目でなくてもNPWTを続行するのは有益です。大きな病院では、洗浄を一緒にする2way方式のNPWTを使用したりしますが、私の働く病院でそれが使用されることは、まずないです。NPWTのフォームをかぶせる前に、VASHEドレッシングでwound bedを覆って、出来るだけ殺菌しています。いつもは、覆ってる間に、NPWTの準備をします。

治療中、わけあって、2日間NPWTが外されてた時がありました。その後、見たら、fascia ligamentが1.5㎝も露出してしまっていました。ligamentは死守です。保護のために、上にコンタクトレイヤードレッシングをかぶせてNPWTを続行したら、次のVACドレッシングの交換時には露出部分が隠れていました。ホッとしました。だから、いろんな意味でNPWTは有益です。

1回目の外科医のフォローアップ後

1回目のフォローアップ時に周りのステープラーが外されたので、Biologic dressingがあったことは、ぱっと見、わかりません。が、念のために、NPWTのフォームを当てる際は、保護する意味で、wound bed上にコンタクトレイヤードレッシングを使用します。Wound bedはぐちゅぐちゅしてWetな感じがありますが、ドレイネイジもクリーンで悪臭もありません。ということで、NPWTを続行ということでした。写真が無いのが残念です。

2回目の外科医のフォローアップ後

患者さんが2回目の外科医の所から戻ってきました。外科医から「翌日からNPWTを開始」とのノートがあったので、翌日、ガーゼのドレッシング材を外しました。どうやら、ドクターがwound bedを少しデブリーメントして、その上にIodosorb Gelをかぶせたようでした。Iodosorb Gelは、翌日になると、白く変色します。

私は個人的に、このIodosorb Gelが好きなのです。でも、それを積極的に使用する外科医はあまりいなくて、なので、私はちょっと感激しました。使用済みの状態になったIodosorb Gelを取り除いた後は、Wound bedが良い感じに乾いていて、全体が赤黒い感じで落ち着いていました。NPWTを続行して現在に至ります。

娘さんが毎日病室を訪れるのですが、早く家に帰れるといいなあ、と思っています。

Reference

Mensbridge, J. (2020). Tissue-engineered skin products. Principles of Tissue Engineering (5th ed.). https://www.sciencedirect.com/topics/engineering/dermagraft

Tottoli, E. M., Dorati, R., Genta, I., Chiesa, E., Pisani, S., & Conti, B. (2020). Skin wound healing process and new emerging technologies for skin wound care and regeneration. Pharmaceutics. Aug 5;12(8):735. doi: 10.3390/pharmaceutics12080735. PMID: 32764269; PMCID: PMC7463929. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7463929/

↓はちょっと古いですが、「Aprigraf」のレビューという内容だったので載せました。

Zaulyanov, L., & Kirsner, R. S. (2007). A review of a bi-layered living cell treatment (Apligraf) in the treatment of venous leg ulcers and diabetic foot ulcers. Clin Interv Aging. 2007;2(1):93-8. doi: 10.2147/ciia.2007.2.1.93. PMID: 18044080; PMCID: PMC2684073. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2684073/#:~:text=Initially%20approved%20by%20the%20FDA,greater%20than%20three%20weeks%20duration.