久々のPilonidal Cyst。新シリコンドレッシングのPROとCON

Pilonidal cystのI&Dをした中学生の患者さんがいて、NPWTを久しぶりにCoccyx部分にアプライしました。

保険会社の承認を得られるまでの時間が微妙に悩ましい

新しいドレッシング(ドレープ)材が悩ましい。新シリコンドレッシングのPROとCON

保険会社の承認を得られるまでの時間が微妙に悩ましい

Pilonidal cystの除去手術は、通常は外来扱いの日帰り手術なので、NPWT使用の際の保険適用の扱いは入院患者さんとは別になります。入院患者さん用は、所内に待機しているマシンが常時あるので。それをいつでも使用可能です。

外来でNPWTを最初から家で使用する場合は、事前に費用が保険でカバーされるように書類を提出します。Pilonidal cystの除去手術後は、NPWTを使用するのが通常コースなので、過去のケースでは、ほぼ全員が保険でカバーされています。

問題は、書類提出から保険会社の承認を実際に得られるまでのプロセスが、時々すんなりいかないことなんです。ここだけの話… 会社の合併前は、プロセスは割とすんなりでした。合併後は、書類があれだのこれだの言われて、なかなかすんなり出して貰えなくなりました。

そして、今回がそんな感じでした。水曜日の午後遅くに、外来のMA(メディカルアシスタント)から電話があり「月曜日に手術なのでVAC用意できる?」と言われました。

木曜の朝一番に書類を提出して、土日は家庭用VACの部署が閉まっているので、何も進展は無し、何度も電話で問い合わせて、幸運にもVACマシンが到着したのは火曜日の朝でした。手術には間に合いませんでしたが、「soon enough」って感じかな、と思います。大体早くても3,4日はかかると思っていたほうが良いです。

VACの到着が間に合わない場合は、手術をガーゼのwet-to-dryで終わらせるか、手術日を遅らせるかになります。Pilonidal cystのケース以外だったら、個人的には前者を好みます。もし、私がマシンを出す会社の人だったら、VACシステムは術後に承認したいくらいです。というのは、以前、手術の直前になって、VACシステムが用意できていたにも関わらず、手術をキャンセルした患者さんがいたからです。でも、中高生のPilonidal cystの場合は、手術をキャンセルする患者さんは基本的にいないです。手術以外にオプションがないくらいに、どの患者さんのwoundも深さがあるし、VACを使用しないと完治まで時間がかかるからです。

新しいドレッシング(ドレープ)材が悩ましい。新シリコンドレッシングのPROとCON

前述のとおり、久しぶりのPilonidal cystのケースだったので、新しいシリコンドレッシングを、初めてCoccyxに使用しました。

最近かかとに使用しましたが、かかとの使用は、何とか大丈夫でした。平たいお腹とかは問題ありません。が、Coccyxは、微妙なんです。

まず… くっつかんのです! スキンバリアを使用しても優しくはがれてくる…。フィルムだったら有り得ないことです。

ミディアムサイズのドレッシングだと、シリコンドレッシングが一枚入っているだけなので、それでは足りないんです。これ… 思うんですが… 製造会社の人は、きっと実際に使用したことないんじゃないかな…。そう思わずにはいられない… でも、でも、余分にオーダーしたフィルムドレッシングの分も保険でカバーされたから、まあ、いっか!良しとしましょう。

NPWT用のドレッシング材(ドレープと呼ばれます)が1,2年前からシリコンになっています。以前はフィルムのドレッシング材でした。フィルムとシリコンの間に、もう一種類ドレッシング材がありましたが、それは、短命でした。さらっと消えました。

シリコンになった理由は、フィルムだと水泡ができてしまうから、ということでした。でも、水泡ができるのはドレッシング材の材質のせいではなく、主に、ドレッシング材の扱い方によるものです。ドレッシング材をはがす際に、割と勢いよく剥がすと、水泡が出来てしまいます。外来のクリニックなどでは患者さんが多くて、ドレッシング材がベリベリッと雑にはがされてしまうケースが多いです。そんな時は、中高生の健康な肌でも水泡が出来てしまったりします。

個人的には、以前のフィルムドレッシングの方が好きですが、剥がす時は、やっぱりシリコンがいいです。ヌルヌルっとした感じで簡単に剥がれます。というわけで、PROとCONはこんな感じです。

シリコンドレッシング材のPRO

剥がすのが楽。剥がす時間が短い。(←やっぱりここのポイント大きい)

水泡(Blisters)ができにくい。(←やっぱりここのポイントは大きいんでしょうね)

シリコンドレッシング材のCON

Periwoundのプレップに使用できない。やっぱりPeriwoundのプレップはフィルムがいい。

くっつかない箇所が多い。優しくはがれてくる。

端っこの保護紙が切れにくい(端っこがはがれてくる原因になる)

まとめ

結局、パッケージに入ってる一枚のシリコンドレッシング材だけでは用が足りません。ブリッジ用に使用する分はそもそも含まれていない、という感じです。

というわけで、結果的に、余分にフィルムドレッシングを注文する、ってことですね。保険でカバーされてることですし、結果オーライですかね!