■静脈性潰瘍 最速ケア #247

■静脈性潰瘍の治療はやはりこれ

■コンプレッション

■ただ巻くだけでは治らない

■まとめ

静脈性潰瘍でずっと治療をされていたという患者さんがLong-Term Careに入ってきました。

毎週毎週、遠方のwound care clinicに通うのに人を頼まないといけないし、もう自分のケアが自分で出来ないからと言う事で…。

Long-Term Careは、一か月$7000+かかる場所なので、これを政府系の健康保険でカバーしてもらうには、皆さん資産を全て片付けて来ないといけません。これは、精神的苦痛を伴う悲しいプロセスです。

そして、入って3日。

面積は広いが浅い潰瘍だったこともあり、一回のドレッシング交換で治ってしまった。

皮肉極まりなく…。

治ってしまったと言うと、きっとショックを受けるし、ドレッシングを外すとまた元の状態に戻る可能性もあるので、とりあえず、「これからドレッシングは週一で取り替えますね」、と言ってあります。ドクターに報告する際も微妙に言葉を選びます。じゃないと、病室に入って明るく「治ったそうですね!」とか言われてしまうかもしれない…。

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■静脈性潰瘍の治療はやはりこれ

コンプレッション無しに静脈性潰瘍の治療は無理というくらい、下肢のコンプレッションは必要不可欠です。

Edema(浮腫)がある限り、治りも悪く、患者さんの多くは、コンプレッションをすると「feel better」と言います。

コンプレッションにもいろいろな種類がありますが、リサーチ結果でも出ているように、一番よく使用されるのが、zinc-oxide compression dressing、通称「Unna Boot」です。

値段も巻き心地も商品によって全く違います。下記の過去記事を参照下さい。

■Unna Boot Zinc Oxide Paste Bandage #159

(うまく巻けないのは貴方のせいではない)

■Unna Bootが無い場合の代用品 #166

中に芯が入ってないので巻きにくいです

向かって左のEcono-Paste。巻き心地も良く、値段も手ごろでこれが今の所一番です。片手で足を持ち上げて片手で巻くことが可能です。右のはストレッチ0%で、更にzinc-oxide量も少なくいまいちです。

ピンクの色はカーマイン

■コンプレッション

下肢のコンプレッションの仕事は、血液が循環して心臓に戻って行く際、gravity (重力) で上に上がれない(心臓に向かって)状態をサポートすることです。

コンプレッションは、マイルドな圧 (15-20 mmHg) からきつめの圧(30-40 mmHg) まで幅がありますが、あまりマイルドではそれ程の効果は見られません。

しかし、きつければいいのかと言うと、そうでもありません。ソックスの場合、20-30mmHgくらいでも、高齢者がこれを履くのは大変です。逆に爪などで怪我をしてしまう場合もあります。また、きちんと伸ばして履かないと、その箇所の圧が上がってしまい、皮膚や血管の損傷を起こす可能性もあります。

というわけで、最適と言われているのが、前述のUnna Bootのドレッシングで、20-30mmHgの圧が見込まれます。

■ただ巻くだけでは治らない

入院(入所)されてきた患者さんも、このUnna Bootで長く治療していたようです。入所時も、Unna Bootが巻かれた状態でした。外したら、両足に大体10㎝ x 15cmくらいのopen skin lesionが見られました。

Unna Bootは、zinc-oxideの効果でexudate (浸出液) には対応できますが、ドレッシング自体には抗菌効果があるわけではなく、exudateが多いと、週一のドレッシング交換ではかえって悪化する場合もあります。

慢性化して、ドレッシング交換時にあった臭いからすると、きっとcultureを取ったらあれだこれだのバクテリアがisolateされることでしょう。

この患者さんには、1/4の強さのDakin’s solutionを浸したガーゼ(患者さんがsensitiveな場合は、水で希釈します)で10-15分覆っておきます。急ぐ場合は、5分くらいでも効果はあります。

皮膚が剥けた肌の表面に、抗菌性の軟膏を塗ります。その他の部分にも塗って可、です。

non-adherent strip dressingを置き、その上からUnna bootを巻きます。(non-adherent dressingは、oil emulsion impregnatedで最初はべたべたしていますが、乾いてサラッとします。)

大柄な男性だったので、片足でほとんど1ロール使用しましたが、その後30分後位に圧迫感を訴えたので、レイヤーを少し減らしました。レイヤーが多いとその分圧も上がります。

Unna bootの上には、直接Ace-wrapを巻くことができます。Ace-wrapがunna bootでぐちゃぐちゃになったりすることもありません。

Ace-wrapだと、この患者さんのように「苦しい」とか言う場合に調節できます。Unna bootとAce-wrapの間にKerlix(ガーゼの包帯)を巻いていると、調整が難しいです。

深い潰瘍の場合は、こんなに一回で治ったりしませんが、それでも、Unna bootは回復への近道です。

■まとめ

  • 肌(潰瘍箇所)の菌を抑える
  • 抗菌軟膏
  • non-adherent strip dressing (他のコンタクトレイヤードレッシングよりも良い)
  • レイヤーを調整したUnna boot
  • Ace-wrap 4″幅。大柄な方だと6″でもいいですが、そうでない場合は緩んでくるので4″がいいです。
  • ドレイネイジが多い場合は、週に2回ドレッシング交換