■抗菌作用のある創傷ケア商品
■メチレンブルーのフォームドレッシング 利点
■PVA vs PU
■抗菌作用のある創傷ケア商品
抗菌作用のあるWound Care Productsには下記のようなものがあります。
Silver入り - いろいろなドレッシングにAg+バージョンがあります。Silverの含有率によって皮膚組織を壊してしまうというレポートも多く見られます。
Iodine入り ー 液体、ドレッシング材、ペースト(Gel)等いろいろ。
Topical antibiotic ー 市販もされているので、手軽に買えます。軟膏のボディはPetroleum gelです。
Xeroform ー 医師によっては、抗菌作用を認めない人もいます。これにtopical antibioticを加えたりすることもあります。ドレッシング材と抗菌の軟膏が喧嘩することは無いようです。スキングラフト後の創傷処置には、Xeroform+軟膏をセットで使用することが多いです。
Honey ー 医療用ハニーさえも、患者さんへの安全面から病院ではあまり使用されません。個人のクリニックとか、訪問看護等で見かけることはあります。医療用ハニーから、子供がよく使う$3ドルくらいの入れ物(ベア型とか)に入った安いハニー(ほとんど砂糖)などいろいろなハニーを比較したレポートがあります。レポートでは、安い市販のハニーでも、日数はかかるものの、創傷の治療にそれなりに効果が見られた、というもので、どちらかと言うと、ハニーのosmotic effect(浸透圧効果)によるものかと思われます。
プロポリス ー Silver+抗菌薬よりも、Silver+プロポリスのほうが効果が高いかも?という記事がありました。
Dakin’s solution (Full, Half, Quarter strength) ー 医療現場では非常によく使用されます。が、どの濃度のものも、その安全性に対して、FDAの認可が出てないと認識しています。というわけで、外来から患者さん用に処方箋を書いたりしても、患者さんはドラッグストアで貰えません。
そして、以上に加え、タイトルにもあるように、Methylene Blue (MB) 入りのドレッシングもあります。(2003年にFDAが抗菌作用があるドレッシング材として認可。でも、MBの抗菌作用については、1902年に既にレポートされているようです。)
■メチレンブルーのフォームドレッシング
メチレンブルー入りフォームドレッシングには下記のような利点が有ることが報告されています。
抗菌作用 ー colonized, critically colonized のwound に。どの時点で抗菌作用の有る創傷ケア商品を使用するかを見極める必要があります。
ドレイネイジの量を選ばない ー minimal, moderate, large、どのドレイネイジ量の創傷にも使用可。
皮膚組織への害が極めて少ない ーminimal toxicityとあって、どの抗菌商品も、皮膚組織への害が全く無いとは断言できませんが、極めて安全である、ということです。
他のWound Care 商品と同時に使用できる ー enzymatic debriding agents (ex. Santyl), growth factors (ex. Regranex), hydrogel等と一緒に使用した場合、これらの商品の特性に対して影響を及ぼさない。
■PVA vs PU
PVA, polyvinyl alcoholとは、親水性の人工ポリマーで、ポリマーである故に強力で、布地やその他色々な商品に使用されます。
KCI/3M社から出ているNPWT (Wound VAC) のドレッシング材に、Whitefoamという白いモイストな感じのフォームドレッシングが有ります。黒い色のGranufoamに比べ、手で簡単にちぎれないので、Tunnelingがある創傷のNPWTにはこちらのWhitefoamが使われます。黒いGranufoamは、簡単にちぎれてしまうので、Tunnelingの中に入れると忘れ去られる可能性も有り危険です。
この白いフォームドレッシング(whitefoam) にはPVAが使用されています。
PVAのドレッシング材にメチレンブルーが合わさったのが、Hydrofera Blueドレッシングです。Hydrofera Blueドレッシングには、PVAのタイプと、PU(ポリウレタン/polyurethane)のタイプがあります。
深い創傷のパッキングに使用されるのは、PVAの方です。これは、「Hydrofera Blue Classic」という、以前から市場に出ている水分を加えてから使用するタイプのドレッシングです。こちらのタイプは、アプライする場合、水分を加える必要があります。PUタイプは、その必要がありません。
PUタイプは、そのまま使用できて便利ですが、セカンダリー・ドレッシング(ドレッシングをその場にキープしておく目的のドレッシング)が必要になります。セカンダリードレッシングと言えば、この度、セカンダリードレッシングを使用しなくていいように、PUタイプのドレッシングにシリコンのテープ(border) がついたドレッシングが出ました。
製造元の情報によると、Hydrofera Blueドレッシング材の働きは、「Natural NPWT」という、フォーム内にバクテリアを吸い上げて閉じ込めてしまう、というものです。ドレッシング材が益々進化しています。
Hydrofera Blueのドレッシング材自体はそれほど安くはありません。しかし、一週間のコストが数ドルということで、総合的に判断すると、Cost effective(経済的)ということになっています。