■ハイドロポリマー・ドレッシング(Hydropolymer Dressing) #113

ハイドロポリマー・ドレッシング

水を閉じ込める技術

最近よく聞く、ハイドロポリマーのドレッシング。

「ハイドロ」と「ポリマー」を1語にまとめたら、それはイコール、ドレッシング、という感じです。

そのハイドロポリマーの働きを、例えばシリコンポリマーのように頭の中で図解したいと思いました。

シリコンは、Hydrophobic (疎水性)で、頭の中では、ダイメシコンの時に描いたイメージのような感じです。

Siliconpolymer coating: Dimethicone

シリコンのポリマーの膜が肌を覆っている感じ。

ハイドロ(水分)ポリマーのドレッシングは、ドレッシング内に水分(exudateなど)を閉じ込める技術で、ドレッシングの他、農業など様々な分野で活用されているようです。

私の描くハイドロポリマーのドレッシングはこんな感じです(下)。

Hydropolymer and dressing image from side

ドレッシングの断面図が厚すぎましたね…。

ハイドロポリマーのドレッシングに、Medlineから出ている「Optifoam Adhesive Dressing」というのがあるのですが、Medline社さん的には、「Mepilexに対して」という感じでした。「Mepilexをお使いですよね。我が社からはこれを…」と、価格の比較と共にサンプルを紹介してくださいました。

ハイドロポリマーという紹介のされ方ではなかったので、「気持ち低価格だけど、表面積も気持ち小さい」イコール、移行するポイントがわからない、と、病院内の商品コミッティで却下に… というか、本当に申し訳なく思いますが、その時点で、その商品を押すべき顕著なポイントが私には無かった、というのが正直なところです。

使ってみた感じは、周りのシリコンボーダー(くっつく部分)の部分が若干幅が狭く、材質的にも、スキンバリアを塗っても割とすぐに取れてきちゃうんですよね。なので、結果を見たくて患者さんの部屋を訪れたり、クリニックでフォローアップに来た患者さんのドレッシングを見たかったりしても、ほぼ誰もそのドレッシングをキープしてない感じです。「あ、あれ、もう剥がれちゃったから」と言う感じで。

MepilexやAllevynのドレッシングと結果的な働き(水分を閉じ込める的な)は大体同じ感じですが、これらのドレッシングは、レイヤー内に閉じ込めるのに対して、ハイドロポリマーは水を包んで閉じ込める感じかな、と思います。

粘着性はやっぱりMepilexのくっつき感が一番いいです。そのくっつき感を強すぎると嫌う医師もいます。欲を言えば、Mepilexのフォーム部分の粘着をほんの少し弱くしてもらえたらいいな、と思います。

高齢者の方のスキンテア(Skin tear) には、私はMepilex一週間貼りっぱなし、というのをするんですが、中にゼロフォームの類を置いて、スキンテアの肌に直接粘着部分がつかないようにしています。

話がMepilex の方に行ってしまいましたが、こちら(←実際のリンクです) のポスターによると、向かって左の3種類のドレッシングは、どれも大体似たり寄ったりの結果です。

Image result for hydropolymer

An in vitro evaluation of a new hydropolymer dressing with silicone* in the management of wound exudate under compression. Retrieved from: https://www.epostersonline.com/wnds2015/node/531?view=true

「TIELLE」というドレッシング(向かって左側)が一番吸収率と吸い方が優れているよ、というポスターなのですが、2番目がAllevyn、3番目がMepilexで、私個人的には、実際にはどれも大体同じ感じなんじゃないかな、と思います。

また、このポスターは、販売元のAcelityという会社からの出版物なので、それもちょっと考慮に入れて…。