■サンティルのケース2件(Collagenase Santyl )#197

■ケース2件

■サンティル Myth

■Zinc

■pH

サンティルのオーダーが出た患者さんのケースが2件ありました。2件とも別々の医師からのオーダーです。

■ケース2件

1人の患者さんは、外来のクリニックで、PCP(主治医)からのReferral でした。最近、近隣の病院に10日間程入院していて、たぶんその前からだと思うのですが、踵に直径3.5㎝の褥瘡がありました。褥瘡は、80%くらい黒いエスカーで覆われている状態でした。

医師が来て「サンティルでいこう」と言いました。外来のサンティルは難しいです。しかもこの状態の褥瘡では、サンティルはとても時間がかかります。しかし、医師がそういうので、しょうがないです、サンティルでした。サンティルが悪いわけじゃないです。単に、この褥瘡、患者、家族のコンビネーションに向かない、と言っているわけで…。

翌週、また外来に来た際、一週間前と全く変わっていなくて、違う医師がシャープデブリーメントで行こう、という決定となりました。この医師はシャープデブリーメントも手術室で行うので、手術室行きです。

2件目は、Long-Term Care の患者さんです。Soft-tissue infectionです。Cellulitisの一歩手前です。この状態はサンティルを使っている場合ではなく、IVの抗生物質をお願い、と思う段階なんですが、オーダーは抗生物質の錠剤+サンティルでした。サンティル自体が悪いわけじゃないです。単に、この創傷+インフェクション (gram(-) rod) の状態は、サンティルの段階を超えています。Radiologyのオーダーをお願いしました。

この件では、フロアのナースによると、Long-Term Careを扱っているPharmacyから電話があって、保険のカバーが出来ないと言ってきたようです。結局、使用不可となりました。

■サンティル Myth

Santylに於いて未だにわからないことがあります。

Santylのㇾプに口酸っぱく言われていたことがあります。それは次の二つです。

① Santylは、Moist environment(湿潤環境)にしてあげないとActivateされない、ということ。

Activate されなかったら、$250の軟膏も$4のワセリン軟膏も同じなのです。Santylは、activateされたなかったら、ただのPetroleum jellyです。(これはㇾプが言っていたことです)

だから、創傷が比較的ドライな場合は、生食水+ガーゼ等でモイストにしてあげなければいけない、とのことでした。

しかしながら、Smith&Nephew社から出ているどんな説明にも、そのような記載が無いです。私が探せないだけかもしれません。でも、そんなに大事な事ならば、デカデカと大きく記載するべきじゃないでしょうか。

② Topical Bacitracin ointment (抗生物質の軟膏)等を一緒に使用する場合は、抗生物質の軟膏を上に、サンティルを下(創傷に直)にレイヤーで置くように言われました。その理由が何なのかの返事はまだ頂いてません。Smith&Nephew社の説明にもそれに関するRationalesは出ていません。

抗生物質エージェントがパウダー状の場合は、パウダーが下です。でも、現場にあるのはほぼ100%軟膏です。パウダーというのは、IMとかIVとかを作る際のパウダーの事なのか、私は個人的にパウダー状の抗生物質はIM/IV用のしか見た事がないので、ちょっとわかりません。

でも、万が一、サンティルがちゃんとactivateされていない場合は、それが邪魔になって、抗生剤軟膏も役に立たないことになります。

■Zinc

更に、Smithi&Nephew社の説明によると、サンティルは、Zincがあって初めてActivateされる、とあります。これはㇾプは言っていませんでした。

血液中のZincレベルは、ラボじゃないとわからないし、高齢者だったり、透析患者だったり、病人だったりすると、Zincの存在は十分なのか定かでありません。それに創床にあるかどうかなんて…。

ということは、使用するのがBacitracinだったら、0.9gの一回分パケットにZincが予め混合された同じ0.9gのパケットがあります。それを使用することで、サンティルの働きを良くすることが出来ると思います。同じような軟膏は他にも存在すると思うし、要は、抗生物質の軟膏がZinc入りであればいいということだと思います。

■pH

一般の酵素の働きと同じように、酵素は特定のacid-baseのバランスの範囲内で、また、体内と同じような温度下で、効力を発揮することができます。Dakin’s solutionとのコンフリクトも無い、とのように説明にはありましたが、実際は、Dakin’s SolutionはpHが高いとされているので、併用した場合の効力は定かではありません。Silverは最初からダメです。

というわけで、サンティルの使用は、現実的にはやっぱり困難が多いです。特に外来などは。

間違っていたら指摘していただけたら幸いです。

Reference
Smith & Nephew Inc. (2014). Product Monograph Santyl ointment: topical enzymatic debriding agent. Retrieved from: https://pdf.hres.ca/dpd_pm/00028617.PDF
Smith & Nephew Inc. (2016). Collagenase Santyl – collagenase Santyl ointment. Retrieved from: https://dailymed.nlm.nih.gov/dailymed/fda/fdaDrugXsl.cfm?setid=6b6fbfc6-98fa-46aa-88ef-ab00fbb08ffd&type=display