NPWTドレッシング装着・交換時の皮膚のバリアはフィルム糊付け目的も兼

12歳女児のchest wall(胸の真ん中)にある術後の創床にNPWTが使用されることになりました。

NPWT(陰圧閉鎖療法)は、平たんな場所に用いる際は、特に空気漏れの問題も無いのですが、足の先や、足の付け根付近、脇や女性の胸など、部位によっては、隙間から空気が漏れて、NPWTがきちんと機能しない場合が多くあります。

このヒスパニック系の12歳の女児は、体系的には大人と変わらなくて、と言うより、平均的な成人日本人女性の2倍くらいの凹凸で、創床の面積は比較的小さいものの、フィルム貼り付け面積が大きくならざるを得ませんでした。

ここで必須なのが、スキンプレップ(創床周りの肌の準備)です。

そこで常に登場するのが、私の大好きな創傷ケアサプライである、Cavilon No Sting Barrier Filmです。以前も述べましたが、3M社の逸品なのです。Infecion Controlの観点からはアウトですが、私のポケットには、ほぼ常にこれが2,3個入っています。

これを傷床周りに塗って、肌を保護すると共に、フィルムの付きを良くします。

が、です。

この度は、漏れが予想される部位であることから、このスキンバリア・リキッド以上の強力さが求められ、ベンゾイン・スティックを使用することになりました。

これは、アルコールが入っているため、創傷のタイプによっては、肌にしみて、患者さんが痛い思いをします。

が、一時の痛みか、長時間のリーク予防かを比較した場合、やはり優先順位としては、一瞬の痛みは我慢してもらうしかありません。

さて、このベンゾインですが、キャビロンのスキンバリアがほぼ無臭なのに対し、かなり強い臭いがあります。

でも、私は、この「匂い」が割と好きで、それもその筈、ベンゾインは、日本語では「安息香」と言って、アロマテラピー等にも使用されたりします。

創傷ケア時、またはNPWTドレッシング材交換時に使用する場合は、とてもアロマテラピー的な要素は感じませんが…。

写真は、私の働く施設で使用しているベンゾインスティックで、10cmくらいの大きい綿棒みたいなのが中に一本入っていますが、3M社のベンゾインはもっと「味のある」というか「趣のある」5cmくらいの透明の容器に入っています。

個人的には3M社のが好きですが、価格の関係でこちらになったのかと思われます。

価格と言えば、この「1ml」のスキンバリア・リキッドは、購入価格が$0.75です。この購入価格は結構な値段です。

他病院は「3ml」のロリポップ型を使用している所が多いのですが、私としては、「1ml」で十分です。必要ならば、それを3個使えばいいのですから無駄がないと思います。

NPWTに於いて、スキンバリアは、肌の保護でもありますが、早い話が糊です。ボンドです。プライマーです。

なので、フィルムを補強目的で重ねる場合も、フィルム上にも塗ります。

この週末、患者さんから空気漏れの電話がかかってこないか心配でしたが、来なかったので本当に良かった!