深さのある潰瘍に。Unna bootと共に使用できるドレッシング材

■理想のドレッシングとは

■Unna Bootと静脈性潰瘍

■Unna Bootの下に最適ドレッシング

■理想のドレッシングとは

湿潤環境が創傷の治癒に最適な環境という認識が常識となっている昨今において、理想のドレッシングの条件は何でしょうか。

① ドレイネイジを逃がさない (マセレーションが起きないように)

② 創床にくっつかない (剥がす際の痛みが無い)

③ バクテリアの繁殖リスクが少ない

■Unna Bootと静脈性潰瘍

深さのある潰瘍は十中八九ドレイネイジがあるので、Unna Bootのみを当てると、ドレイネイジが溜まって、潰瘍が悪化したりします。

ドレイネイジがある場合は、頻繁に潰瘍部分のドレッシング交換をして、コンプレッションは別に当てるといいです。しかし、高齢者の方等、毎日のドレッシング交換が難しい人も多いです。

一緒に練習したりしても、隙間が空いていたり偏りがあったりと、コンプレッションに一定感が無いと、状態が悪化したりします。

家に毎日来てドレッシング交換をしてくれる訪問看護はありません。保険がカバーしないからです。(絶対に毎日の訪問が必要な特別な理由が有る場合は、1週間とか2週間とかの期間限定で認められます。)

というわけで、やはり潰瘍の上から二重とか三重とかのMulti-layerドレッシングを巻いたり、Unna Bootを巻くことになります。

でも、Unna Boot等、それらのドレッシング材の下にある深さのある潰瘍に、ドレイネイジ管理+治癒のためのドレッシングをプラスしたいケースも多々あります。

■Unna Bootの下の潰瘍に最適ドレッシング

前述の最適ドレッシング材の条件を満たして、更にUnna bootと一緒に使用出来るドレッシング材を探していました。

SilverのAlginateだと、ドレイネイジの吸収はいいが、創床にくっつく可能性も多いです。

PolyMENドレッシングは、対バクテリア効果が弱めで、その際は、ドレッシング交換時にバクテリアを抑えるケアが必要になります。

というわけで、使用できるのは、Hydorofiberドレッシングか、Gelling fiberドレッシングです。どちらもAg+があります。

#245のブログ記事でも紹介させていただいたGelling fiber ドレッシングをここでも使用してみました。

結果、とても良かったのです。

この患者さんは、何をどうしてもドレッシング材を取り去る際に痛いと言ってぎゃあぎゃあ言う方なのです。ひどいと泣いたりします。ドレッシング材を剥がすのにライドケンを注射してくれとか、ライドケンクリーム塗ってくれとか言い出します。だから、この方の場合、創床にくっつくのはもう本当に駄目なのです。

でも… 全く文句が出ませんでした。あれ?取ったの?気付かなかったよ、というくらい。

潰瘍は内側のくるぶしの直ぐ下にあります。5㎝x3㎝くらい。

ドレイネイジを吸って逃がさず、マセレーションも全く無し。

そして傷床もキレイな赤い色で、臭いも無し。

とても嬉しい。

丁度、製造販売元のメンリッケ社のㇾプの人からメールがあったので早速報告をさせていただきました。

動画は約3分です。

Exufiber Gelling Fiber Anti-microbial Wound Dressing 湿潤環境及び感染リスクを抑えるジェリング・ファイバー・創傷ドレッシング