■水泡 (blisters) のケア #153

■フィルムドレッシングは場合によりけり

■肌の有る無しは雲泥の差

■水泡の肌を切るか切らないか

■ドレッシング材

病院内のSNFの92際の患者さんの腰の肌を見て欲しいと言われたので、行ってみましたところ、腰に4㎝x2㎝の水疱が出来ていました。

フィルムドレッシングは場合によりけり

大きな水疱には不向きです。

フロアのナースが、フィルムドレッシングでカバーしますかね、と言うので、「ん~、それはないかなあ~」と答えました。

透明のフィルムのドレッシングは、販売元や製造元の説明にも、「水疱をカバーする」目的もある旨が記載されていますが、高さのある水疱の、92歳の極薄の肌は、ほぼ間違い無く破けるので、ドレッシング材の交換時にきっと肌が一緒に剥がれて来てしまいます

夜間のナースが既に、Mepilexを貼っていて、アセスメントの目的で剥がす時、そのMepilexでさえも、皮膚を保ったまま剥がすのに苦労したほどです。Mepilexの真ん中のアイランド部分の粘着は割と強いのです。

肌の有る無しで雲泥の差

肌があると無いとでは、傷が治るまでの期間に大きな差があります。

この同じ患者さんの足にskin tearが出来た時、大きさが2㎝x2㎝だったのですが、CNAが速攻で知らせてくれたので、肌は100%引っ張って元にもどして、3日で完治しました。

高齢でも、肌があるとそれくらい早く治ります。

でも、この、スキンティアが起こった時点で傷床の端っこに寄ってしまってクシャッと縮まった肌をそのままにして、それが乾いてしまうと、もう元には戻らず、この高齢者の肌が新たに形成されて創床を覆って完治するまでの期間と言ったら… 何倍もの時間がかかります。

水泡を切るか切らないか

先に述べたように、感染の様子が無かったら、肌は切らない方が治りが早いです。

創傷の本などには、2㎝以上の水疱は切る、と書かれたものもありますが、必ずしもそうとは限らないです。

以前クリニックに来た、火傷の患者さん、外で豚の丸焼きをしてる最中、強風にあおられて、豚ごと自分に掛かって来て、腕と手を、指の先まで火傷してしまい、手の甲半分と指が水疱になってしまいました。

男性なので、手も大きくて、というわけで、水疱の面積もその分あったのですが、何故かその翌週、手の皮(水疱部分の)が無くなった状態になっていて… ドクターが切った、というので、既に事後ですし、「ああ、そうなの」としか言いようがなかったのですが、痛くて痛くて薬無しでは夜も寝られない、とのこと…。

そこに私はいなかったので、もしかしたら切った方が良し、とされる事情もあったのかもしれません。結果的に治ったからもういいんですが、水疱部分は、あのままでも良かったんじゃないかな、と思います。

また、以前、Med-Surgにいた患者さんで、お風呂のお湯で火傷された方がいて、足の小指から踵まで長細く水疱になってしまい、たまたまフロアに居合わせた外科医と、水疱部分は落ち着いているので、このままで様子見で、と話していたのにも関わらず、翌朝行ってみたら、NOC(夜勤)のナースが切り取ったと言って、全て切り取られてしまっていました。あれ!という感じ。

肌が無くなると、感染防止作業が倍増するので…。

ドレッシング材

上記92歳の方の4x2の水疱は、アセスメント目的でも何でも、ドレッシング材を開けたら、スキンバリアを塗ってあげて、Mepilex で良いですが、アイランド部分にガーゼを置きます。ガーゼは、水疱が破れた時のドレナージを吸うという目的というよりは(吸うだけならMepilexがしてくれる)、他の人がドレッシング材を剥がす際に肌を一緒に剥がさない為です。

でも、破けてからしばらく置いてしまうと、今度は、ガーゼ自体が肌組織にくっついちゃってそれこそ肌が剥がれてきてしまうので、要観察、です。

Mepilexのアイランド部分に、non-adherent stripを貼ると良い時もありますが、破れるであろう水疱にはちょっと向きません。このnon-adherent stripを貼ると、ドレナージがあった際い直ぐに処置しないとpus的になってしまうことがあります。

というわけで、スキンバリア+乾いたガーゼ+Mepilexでいいんじゃないかな、と思います。

年齢が比較的若くて、肌もちょっと強かったら、Mepilex じゃなくても、単にスキンバリア+乾いたガーゼ+テープ、でもオッケーですが、高齢だとテープよりシリコンのドレッシングの方が優しいです。

Mepitel One というちょっと高価なドレッシング材があります。透明で、細かい穴が開いてて、コンタクトレイヤードレッシングみたいな働きをします。水疱にこれを貼っても良いのですが、これを貼る場合は、水疱が破けた際、このドレッシング材の上から洗ってあげる必要があります。でも、その作業を怠ると、状態が悪化します。そして、この作業はとかく怠られがちになるので、それを予想して、あまり使用しません。

しかも、ドレッシング一枚の購入価格が$10です。総合的に考えて、あまり意味ないかな、と思います。このドレッシング材自体は、私は好きですが、$10を出すほどのメリットも無いかな、という感じ。切って使用するので、一回つきに$10じゃないんですが…。

また、水疱は、ちょっと骨に近い場所だったので、保護の意味でも、Mepilexでいいかと思います。ちなみに、この度は、状況と状態からしてステージ2の褥瘡でした。

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