■ホームレスと創傷ケア #44

どこの病院も、ERにホームレスの患者さんが運ばれてこない日はないくらい、ホームレスの方達は病院に頻繁に入院します。

うちの病院も同じく…。

今週は三人退院して行きました。

ホームレスの人達は、アルコール中毒&肝臓の状態のために運ばれてきたり、ケガで運ばれてきたりといろいろですが、足に創傷がある人が多いです。

適当な靴で歩くことによる血豆、動脈や静脈の状態からくる潰瘍、切り傷、擦り傷、車椅子に長く座っていたための褥瘡、また、切り傷等から発症した蜂巣炎などです。

綺麗にして、寝て、食べると、大概皆さんとても元気になります。が、退院後の受け入れ先(施設等)が皆無で、また元の通り、路上生活に戻ることになります。ケースマネージャーもお手上げ、という感じです。

地域のホームレスの為の情報を集めようと調べたこともありましたが、全く無いことがわかり、どうしようもないんだ…と無力感を味わいました。

お母さんと子供のためのシェルター、女性のためのシェルター、ティーンエイジャーのためのシェルター等はありますが、病気を患っている中高年ホームレスを受け入れてくれる施設は、皆無でした。

多くの場合、ホームレスの人たちの創傷は深刻な状態ではありません。

が、創傷の観点から見ても「vulnerable population(弱い立場の人達)」であることには違いないと思います。

他の病院ではどのようにしているんだろう、日本ではどのようにしているんだろう、と考えてしまいました。

ちなみに、ホームレスはホームレスシェルターには、ほぼ行きたがりません。聞いた話によると、うかうか寝ていられない怖い所、ということです。寝ている間にも、いつ物が盗まれるかわからないのでゆっくり寝てもいられない、のだそうです。