■Nursing Informatics #61

今日は週末ですがわけあって仕事に出たので、左足にvenous ulcerがある70代の患者さんを四日ぶりに訪れました。wound bed(創床)の状態は少しだけ良くなっていましたが、サイズは四日前とほとんど同じ。内心、ちょっとがっかりしました。

雑談していたら、「明日(自分は)家に帰るんだって。誰かが一緒に住んでたらいいんだけど、ちょっと不安」と言うので、びっくり。

担当の看護師に聞いたら「なんか、そうらしい。まあ、いいんじゃない?自分で歩いてるし。」とのんびり言うんですが、「でも、誰がwound careしてくれるの?家で」と聞いたら「え?私、今日2週間ぶりに出たんだけど、その患者さんにwound あるって報告なんて受けてないよ。そんなのあったの?」とのこと…。

この患者さんの家は、人里離れた山の中にあって、訪問看護も管轄外というか、訪問可能圏外、ということで、受け付けてくれる訪問看護のエージェンシーが無いのです。

家族がたまに訪れるらしいのですが、家族に、創傷がいいのか悪いのかの判断をさせるのは酷なこと…。ほとんどの家族は不安な顔になります。

毎日は無理でも、週に少なくとも2、3回はドレッシング材を交換してもらいたいけど、その度に、創傷の状態を確認できるわけでもなく…。

IT(Nursing Informatics)が発達したら、こんな状況に置かれた患者さんを少しでも助けてあげられるだろうか、と思いました。行ってドレッシング材を変えることは出来なくても、家族がしたことを確認することはできます。

それはきっと、今でも、やろうと思えば、携帯等で可能だと思うのですが、個人的にできるわけではなく、医療施設全体の意思がなければできないわけで…。そう簡単にはできません。

看護プログラムのマスターコースの一つにあるNursing Informatics。看護師の資格がなくても入れる唯一の看護プログラムのコースですが、リサーチによると、2年後には16%の雇用の伸びが見込める分野、と雑誌に書かれていました。

この分野がもっと伸びて、遠隔地の患者さんにもっと手が差し伸べられるようになったらいいなあと思います。

とりあえずの解決策としては、丁度、その患者さんの主治医の先生が明日の退院ということで来られていて、退院を伸ばしてもらうことが出来ました。そして、外科医によるキュレットを使用したデブリーメントのオーダーを出してもらいました。創床の表面にあるしつこいスラフをシャープデブリーメントで除去してもらう、という方向で。州によっては、看護師がやる場合もありますが、出血なども想定されることから(少しの出血は期待値内)、通常は、キュレットやスカーポルのデブリーメントは外科医にしてもらいます。

このままのんびりケミカルデブリーメントしてたって、この患者さんの創傷は多分しばらくずっとこのままだと思いました。

今日、たまたま仕事に出れて良かった…。ギリギリセーフってところでした~。