■病院内政治★解雇は日常茶飯事 #60

アメリカで初めて職についた時に一番びっくりしたのが、この解雇宣告の突然さ、です。

朝の九時くらいに人事部の人が部署に入って来て、その人に通達をして、その30分後くらいにはもう、私物をまとめて出ていく、という突然さと冷酷さ。状況によっては、警備員に「エスコート」されて出て行かないといけない人もいました。

どんな職場にも、アメリカでも日本でも、社内政治はあると思います。そしてそれは病院でも同じ…。

今日も、1人解雇されたスタッフがいて…、容赦ないです。理由は特に外部には知らされないので憶測となってしまいますが、人々は日々の仕事に忙しく、特にそれほど話題になるわけでもありません。

解雇される場合、多くの場合が、病院内で発言権を持つ上の人の決定によるところが大きく、それは、外科医であることが多いです。

そして、その解雇の対象になるのは、大体が契約社員で、契約で来ている医師の場合もあります。医師の場合は、看護師が複数人で苦情を出すと、反映されてしまいます。医師は、フロアの看護師にナイスにしないといけません…。じゃないと看護師達の逆襲に会います。

医師が看護師の逆襲に会うケースは、看護師が確認で質問したら怒鳴りつけた、Long-Term Careのフロアなのに、准看護師に急性期と同じオーダーを出して、准看護師がとまどっていると、怒鳴りつけて怒った、とか、Med-Surgなのに、おばあちゃんの代から伝わる家庭の医学的なオーダーを出して看護師に呆れられた、とか、不適切な抗生物質を安易に出しまくってLong-Term Care Unit 内のUTI率を上昇させた、等々。

私達は、自分たちのポジションで永遠にぬくぬくとしていられるわけではなく、この人材は病院に対し、どのくらいの経済的貢献を提供できるか、とかも計算されていて、それが何らかの理由で著しくマイナスの場合は、解雇になってしまいます。または、上部の誰かの機嫌を著しく損ねてしまった場合…。

どこも同じです。

「あの人、まだいるの?」とか陰で言われる人もいます。「君、そこの部署の仕事はしなくていいから(その部署に嫌われて)」とか言われる人もいます。

あくまでも中立で、言う事は言って、陰口はたたかず、噂話もほどほどに、目の前の仕事を淡々と真面目にこなす。というスタンスで、明日も頑張ります。