■マスクの使用は100年前のインフルエンザ流行時に学んだ筈だった(米国)#220

100年前のアメリカで、インフルエンザが猛威を振るった時があります。アメリカだけでなく、感染は世界中に広まり、パンデミックとなりました。「スペイン風邪 (Spanish flu)」と呼ばれているやつです。

世界の死者の数は、20~40 million と言われ、第一次世界大戦の死者を上回ります。文献によっては 50 million とも 100 million とも言われます。日本の人口は、127 million くらいなので、ざっと、日本の人口、全国民の3分の1が死亡してしまう計算になります。

アメリカにおける死者数は、675,000人でした (Schelden, 2020)。

特に感染者が多かったフィラデルフィアでは、9月の間に、正確には10月3日までに、感染者数が75,000人に上っています。

さて、記録によると、アメリカでの当時の状況は、この度の新型コロナウィルスの感染状況とよく似ています。

病院は病人で溢れていて、入院などさせてもらえない。多くの人が、自宅療養を余儀なくされました。

訪問看護師のケアに頼る所が大きく、フィラデルフィアでは、訪問看護師が、この期間、4,050人の患者に対し、延べ16,165回の訪問をした、とあります。

前置きが長かったです…。

記録によると、訪問看護師が各家々を訪問する際、みんなに、マスクをして、飛沫感染を防ぐよう指導をしていた、とあります。(Keeling, 2010)

マスク着用による飛沫感染の予防は、100年前からなされていたことで、本当は新しい事でもなんでもなかったのです。

更には、狭い空間に大勢が住むことの感染に対する危険さや、手洗いの重要性も、既に訪問看護師によって指導されていた事項であったのでした。(Keeling, 2010)

現在では、訪問看護師は、退院後の患者の様子見やケアに使用されるケースがメインです。

Visiting Nurseの他に、Public Health Nurseというエリアがあります。日本語では保健師というやつですね。カウンティの保健師の仕事内容などが、今後、もっと見直されていくのかな、と思います。見直されていく、というより、疾病に対する予防や対策をもっと強化していく、という感じでしょうか。

Reference

Keeling A. W. (2010). “Alert to the necessities of the emergency”: U.S. nursing during the 1918 influenza pandemic. Public health reports (Washington, D.C. : 1974)125 Suppl 3(Suppl 3), 105–112. https://doi.org/10.1177/00333549101250S313. Retrieved from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2862339/

Influenza pandemic in 1918. Retrieved from: https://virus.stanford.edu/uda/

Schelden, P. (2020). Coronavirus pandemic. MedicineNet. Retrieved from: https://www.medicinenet.com/script/main/art.asp?articlekey=228841