Methylene Blue in Wound Care: Case Study

メチレンブルーを創傷ケアに使用したケーススタディが、某雑誌に紹介されていました。

■メチレンブルー (Methylene Blue) in Wound Care #242

から続きます。

メチレンブルーのAnti-microbial効果は、先に説明した通りですが、ここでは、フォームドレッシングではなく、液体の使用です。(フォームドレッシングそのものについてはまた後に触れたいと思います。)

Anti-microbial効果に加え、MB液はドレイネイジでジュクジュクした肌の乾燥の促進も期待できます。

ケーススタディ3つとも、患者さんは、小児科です。(小児にも使用できるということ)

液の濃度はその都度医師の判断により、0.1%だったり1%だったり、一律ではありません。(柔軟性がある)

ケーススタディ(英語と日本語が入り混じってます)

患者さんの内科的な内容とか、かなり詳細を省略していますが、MB液使用部分だけにフォーカスしています。

Case Study1

15歳の移植手術後の患者さん。慢性的なGVHDを起こしており、皮膚の炎症がほぼ全身に出ている状態。

Lichen planus状に皮膚が硬くなっている箇所が多く見られ、(皮膚が)赤く薄くなって剥けてしまってる箇所は出血を伴うhypergranulationになっていて、ジュクジュクして痛みもある。

特に胸の下の部分は、常にweepingで痛みもあり、ドレッシング材も当てにくいため苦戦。

シルバー系のプロダクトで治療を試みるも状態が悪化し、医療用ハニーで多少の効果が見られたものの、ハニー自体が扱いにくいため、治療時に痛みを伴う。

Methylene Blue (MB)+Gentian Violet (GV)のフォームドレッシングの使用で効果が見られたが、炎症箇所が広いため、ドレッシング材をキープすることが困難。

というわけで、治療は、MB液の塗布。

MB液は、10mg/mlの濃度の液を、1mg/mlに希釈

皮膚の炎症箇所に、MB液を塗り、コンタクトレイヤー・ドレッシングガーゼドレッシングで覆う。

塗る頻度は3日に一回で、2回塗った時点で、weepyの皮膚が乾燥し効果が見られた。

2週間で4回塗った時点で、皮膚の炎症が収まる

3か月後、一旦回復した皮膚にまた炎症が起こります。破けたブリスターや、皮がむけて出血を伴るhypergranulation tissue及びsloughが見られます。

この際も、以前と同じように希釈したMB液を塗り、皮膚の炎症は2週間で回復

Case Study 2

19歳の骨髄移植後の患者さん。急性のGVHDがありましたが、治療も良好で回復し、退院。

骨髄移植から3か月後、再びGVHDのため入院となり、入院から3週間目に複数のstriae (ストレッチマーク) が腹部に出る。Striaeは肥大して、その後ドレイネイジを伴う創傷に発展。

各種、ドレイネイジ吸収用のドレッシング材を使用したが、あまり効果が見られず、逆にSkin tearを引き起こしてしまう。

MB/GVのフォームドレッシングの使用はあまり効果的ではなく、Case Study1と同様に希釈したMB液での治療。

希釈したMB液の塗布は、3~4日に一度

2週間で、weepingとstriaeが減少し、以前からの創傷箇所は回復。

一部、状態がまだ回復していなかった箇所にMB/GVのフォームドレッシングを継続してアプライし、4週間後には、全ての創傷箇所が回復

Case Study 3

13歳のアトピー性皮膚炎の患者さん。アトピー性皮膚炎によく見られる皮膚の炎症箇所の1つである膝の後ろの炎症。ドレイネイジを含む大小のブリスター(小水疱/膿疱)が出血性に発展。かなりの痛みも伴い、全身性の感染症状になったため抗生物質での治療。

創床にはsloughもあり、かなりのドレイネイジも。

Cultureの結果は、S. aureus と、HPV (human herpes virus)

ここでの治療には、1%の濃度のGV液を2日に一度塗布 (第一週目)。塗布部はコンタクト・レイヤードレッシング材で覆って、更にガーゼの包帯で押さえます。

ちなみに、ここでのコンタクトレイヤードレッシングは、DACCというやつで、緑色のドレッシング材です。「DACC wound dressing」で検索すると直ぐにイメージが確認できます。

皮膚の炎症は、2回の塗布で改善し、2週間で完治。

まとめ

上記のように、MB/GVの使用は、炎症箇所が広い場合、炎症箇所が場所的に難しい場合などに適しています。

ケーススタディに共通して見られるように、使用の際は、医師のオーダーに沿って最適な濃度に希釈をし、塗布は2~4日に一度、2度程の塗布で効果が見られるようです。

MB/GVのフォームドレッシングが使用できる箇所には、退院時等、臨機応変にフォームで対応。

Reference

Boyar, V. (2019). Healing with methylene blue/gentian violet. Wound Management & Prevention, 65(9), p. 8-12.