Unna Bootが無い場合の代用品

■品薄

■材料・成分

■結果的に

■余談:乾癬の肌

■品薄

Unna Bootsが品切れなのか品薄なのかわかりませんが、病院の購買部みたいな部署(Purchasing department/material management) にここのところ、Unna Boots

が入って来なくて、どんどん無くなって行きました。

購買の担当者も、「3週間前に注文しているけど、まだ入ってこない」と言い続けていて… 通常は、品物は、オーダーすると翌日くらいに入ります。

ここの所、Unna Boots を必要としている患者さんが増えて、両足の人もいて、それを交換してると、どんどん消費されていきます。

以前書いた、ピンクのUnna Bootsも全然入って来ません。うちはそれほど買い溜めしないので、こんな時困ります。が、今までこういう状況がありませんでした。

先日は、何か所かあるクリニックの各々に設置されているサプライルームに行って、そこに置かれていた分を使用しました。(どうせ使うのは私だけ…。)

そして、それも使い切ってしまいました。

今日は、またそれを使うであろう患者さんが二人来る予定でした。

無いとわかったら、無いなら無いで、別のドレッシングを使用するという、ただそれだけのことです。

コンプレッションは、人によっては長期的にずっと必要なわけで、今日明日に始まったことでもないので、今週来週それが無かったからと言って、どうということでは無いし、ドレッシング材の上に、他の物でコンプレッションしたらいいんじゃない? ってことで…。

■材料・成分

アフリカのケニアで、Unna Bootsと同じ「環境」を作ってみた、と某リサーチの文献がありまして、使用した材料は、2つだけ、とのことでした。

Unna Bootsのメイン材料は、Zinc Oxideで、Unna Bootsは、要はそれがついたガーゼの包帯です。というわけで、2つの材料は、ガーゼの包帯とZinc Oxideです。

Unna Bootsは、各社、微妙に成分とそのパーセンテージが違っていて(勿論ですよね)、でも大体、Zinc Oxide、メンソール、ペトローリアム、そしてカラマインなどが入っています。

リサーチ結果は、Zinc Oxideのみを使用した$2以下で作成した安価なものでも十分な効果が得られた、ということでした。もし、興味のある方は、下記のウェブサイト(open to publicです。)で見てみて下さい。作成現場の写真付きです。

■結果的に

結果的には、クリニックに行く途中に、Purchasingに寄ったら、入荷されていたので、それを持参しました。

(結果的には、どうやら購買部がオーダーし忘れてたみたいでした…。苦笑)

でも、カラマイン付きのピンクのはやっぱり無くて、白のみ。

今日は前回と違う外科医の先生でしたので、患者さんは、また改めて、いかに白よりピンクが良かったかを医師に説いています。

それを聞き終わった医師が「そう…。で… ピンクって何?」とまた…笑。

ピンクは、カラマインです、と答えると、「それ、無いの?それを合体したら?」と。

外科医は決断が早くていい。

「CalazimeにカラマインとZinc Oxideの両方入ってます。色も同じ色のピンクで」と言うと、「それいいじゃない。それ塗って。」となって、医師が患者さんに「同じことだから」と言うと患者さんも納得。ぎゃあぎゃあ(←ごめんなさい)言わなくなりました。

もう1人は、創傷が意外にも早く治っちゃってて、もうUnna Bootsも要らないね、ってことで、局所ドレッシング+Ace-wrapでお帰りになりました。

■余談:乾癬の肌

この度、へ~、と思ったことがあって、それは、Unna Bootsの乾癬の肌に対する効果です。良くも悪くも。

患者さんは、乾癬の持病を持っていて、下腿に広範囲で赤い部分がありました。この患者さんの場合、Unna Bootsは片方だけで、乾癬は両足です。

患者さんは、乾癬用の塗り薬を持っているのですが、Unna Bootsを巻いていると、乾癬用の薬は当然塗ることができません。

乾癬は痒みも伴う病気ですので、それもあって、この患者さんのUnna Bootsはピンクが好都合でした。

そして、Unna Boots を外した際、もう片側の肌と比べることが出来るのですが、創傷(2~3cm)の周りの肌は、乾癬特有の銀色の皮膚組織で埋め尽くされていて、銀色の足になっていました。

乾癬の症状は、肌細胞が、通常よりも早い細胞分裂を起こすせいで、肌の表面にプラーク上の盛り上がりが出来たり、肌の表面から死んだ肌細胞がぽろぽろ落ちたり、です。

Unna Bootsの栄養分 (zincとか)や湿度、水分などによって、ただでさえ早い細胞の成長のサイクルが、更にもっと早くなったかもしれなくて、そのせいで、結果的に、銀色の肌になってしまったのか…と感心しました。

Reference

Chang, A. Y., Tonui, E. C., Momanyi, D., Mills, A. R., Wasike, P., Karwa, R., … Pastakia, S. D. (2018). Development of low-cost locally sourced two-component compression bandages in Western Kenya. Dermatology and Therapy, 8(3), p. 475–481. doi:10.1007/s13555-018-0248-z. Retrieved from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6109023/