爪の周りの赤く腫れた炎症に

Long-Term Care (LTC) の患者さんの爪の炎症が治らない、と看護師さんから連絡があって、この患者さんに、希釈したAcetic Acid 液を使用することになりました。(最後の注意事項を読んで下さいね。

爪の周りが赤くて腫れるの炎症は、病名的には、医師の診断のもと、「paronychia」と言われたりしますが、看護師は診断をしないので 、見たままの症状を記録して医師の判断を仰ぎます。看護師の記録には、当然のことながら、医師から診断されない限り、勝手に病名を入れたりすることはありません。

ちなみに、看護師には、「Nursing diagnosis」という看護特有の看護診断が存在して、これに対して、医師の診断は「medical diagnosis」です。Nursing diagnosisは、看護プログラムで嫌と言うほどやらされます。

この、時には膿が出たりすることもある症状ですが、この患者さんの場合、特にひどい腫れもなく、爪の周りがちょっと赤くてちょっと腫れ気味かな、という程度です。ですが、ちょっとでも、患者さんは不快です。

限りなく小さな棘でも、物凄く痛かったりしますよね?

加えて、僅かながら、爪の変形も見られます。

Acetic Acid 液

Acetic Acid は、日本語では、酢酸と言います。

しかしながら、病院内には、0.25%の濃度のAcetic Acidしかなかったので、これじゃあ、弱すぎるなあ、でも、次の購買日までには週末が中に入っちゃうし…と考えていたら、購買のスタッフが「それなら透析センターにあると思う。いつも大量に買ってるよ。譲ってもらえるか聞いてみるね。」と言って、すぐに聞いてくれました。

というわけで、5分以内に、速やかに透析センターから5%のAcetic Acidを貰って来ることができました。

医師の許可が下りたので、早速、オーダーを入れて、担当の看護師に連絡をしました所、すごく困惑した顔になってしまいました。

5%から1%への希釈

オーダーは、「1%のAcetic Acid 液に指先を10分~15分浸けて、その後、水でリンスし、クリームをつける。これを一日二回。」という極めてシンプルなものです。

手元にあるのは、5%のAcetic Acidです。

看護師から、5%を、どうやって1%にするのか、と聞かれました。

「え…?」

看護師は、「〇〇mlの〇〇を、〇〇mlの〇〇で希釈」とちゃんと具体的に書いてくれないとわからない、「5%を1%に希釈」ではわからない、とのこと。

私は、%だけの方が、量にこだわりがないので、看護師が用意したい液量の自由度が増していいかと思った次第なのですが、そう言われると… ああ、そうか、と反省しました。

長期戦

爪の周りの炎症は、カビ菌である場合も多く、抗生物質の軟膏をいくら塗っても治らない場合もあります(塗る場合は、ぬるま湯に指をしばらく浸けて柔らかくすると効果的です)。

カビ菌の場合は、何週間も、または何か月もかかることがあるので、本当に長期戦になる可能性もあります。

その間、酸の影響で指の皮膚に違う炎症など出来たら困るし、そのせいで患者さんが「もうやりたくない」と言ったら治療が終わってしまいます。

この患者さんは、気難しいとのことで、結局やるのは私か…の感じ…。気難しいからと言って、何かを変えるわけでもないのですが…。

「長くかかるかもしれませんよ」と患者さんにお伝えすると、軽く「オッケー」の返事。

3日経って

なんだか、赤味が薄れているようですが、3日では何とも言えません。

もう痛みは無いそうですが、バンドエイドを貼った方が精神的にいいようで、毎回コースの最後にバンドエイドを貼って、はい、お終い、という感じです。

3日しか経ってませんが、すっかり朝の日課になってしまいました。

ちなみに…

Acetic Acid はホワイト・ビネガー、普通にスーパーマーケット(グロセリーストア)で売られています。一ガロン、数ドルくらいです。掃除とかにも使用します。

注意

Acetic Acidのトリートメントは、原因が菌でない場合は、いくらやっても意味がありませんので、菌を調べるとか、きちんと医師の診療の元で行う必要があります。場合によっては、爪自体を除去するとか(ひどい場合)、Anti-inflammatoryのステロイド剤を出してもらうとか、いろいろなケースがありますので、何度も言いますが、ちゃんと医師に診てもらう必要があります