Debrisoft Patによる創傷洗浄とそれに代われるもの

Debrisoft Patという、創傷の洗浄に効果があるとされる、洗浄用スポンジがあります。Lohmann & Rauscher社から出ている商品です。

image: Debrisoft Pad

Debrisoft Pad for wound celansing

使ってみたかったのですが(実際はもう既に使用してみました)、価格が高く、例によって、必要不可欠の場合でなければ病院はそう簡単には買ってくれないので、自腹で買ってみました。

サイズが思っていたよりも小さ目で、10㎝四方くらいです。

スポンジの表面は、マイクロファイバークロスみたいな感じです。

このスポンジに30mlくらいの生食水を含ませ(水でもいいです)、sloughで覆われた創傷の面を「洗う」感じで使用します。一度の使用でも効果大とのことです。

私が使用したのは、Lymphedemaの患者さんで、膝下の肌が、カサブタのように、カサカサ、ぼこぼこしていました。それにただ単にクリームを塗ってもあまり効果が無い感じでした。

sloughではないので、販売元が謳うような効果を見ることはできませんでしたが、洗浄したらスポンジが茶色くなって、その後、スキンリペアクリームを塗りこんで、家庭でのケアをご夫婦で練習したら (この商品無しで)、その後ER(病院)に来た形跡がないので、まあ、良かったという事でしょう。

練習した際、「そのスポンジ、頂戴」と言われたのですが、「いやいや、これは高くてあげられない。」と、それに代わる物を紹介しました。これを購入するとか絶対に有り得ない患者様でしたので…。

その時によって、アマゾン等で価格の上り下がりはありますが、私が購入した時は、5個入りで大体100ドルしました。スポンジ1つで25ドルですからね…、患者さんの毎日使いには現実的ではないです。

試してはいませんが、代わりに、普通のマイクロファイバークロスで洗浄しても同じ効果が見られるのでは?と思いました。

それに代わるもの

同じような状態の患者さんに、出来ればどんどん使用したくても、Debrisoft Patは前述の通り、毎日使用には高価すぎます。

基本的に、ファンシーな商品でなくても、丁寧に根気強くケアしていれば、症状は良くなります。

優しく洗浄してクリーム等で保護する作業を繰り返します。

なので、特にそれに代わる特別な物を提示する必要はありませんが、大体いつも、Dimethicone5%入りのスキンリペアクリームを持って帰ってもらいます。

クリニックでは、「soap & water」での洗浄をする余裕がないので、基本的にそれに代わるものとして、ワイプを使用します。

ワイプにはいろいろあって、よく使用するワイプは厚めで、表面にDimethiconeがついているものです。

image: Dimethicone impregnated wipes

Dimethicone impregnated wipes。厚手で8枚入り。

ストーマ(人工肛門)の周りには不向きです。アプライアンスがくっつかなくなっちゃうので、もしこのワイプで拭いたならば、スキンバリアでストーマ周りのプレップし直します。

LTCなどで、高齢者の体を「ベッドバス」で洗う場合、一般の家庭で使用する「wash cloth」(正方形の)は肌を傷める理由から、今では使用されません。また、ベッドサイドで水などを貯める目的で使用されるコンテナーも、infection controlの観点から使用されません。

というわけで、使用するのはワイプです。柔らかく、infecgtion control 的にもOKです。

乳幼児用のワイプはサイズも小さくて、材質も、乳幼児特有の肌に合わせたワイプが売られています。高齢者には、乳幼児用のは使用しません。

Lympoedema等で、足の肌の状態が悪い人にはこのワイプを使用してスキンリペアクリームを使用します。勿論状態に応じて使用しない場合もあります。