■医者の仕事としての褥瘡予防 #215

お医者さんに診て貰ったら、何だかそれだけで、体調が良くなったような気になることってあると思います。

半年前にお尻の褥瘡の為に外来に来た患者さんが、今日またケアギバーさんに連れられて外来に来られました。

丁度同じ医師が勤務していたので、覚えていて「何だなんだ、何でまた来たんだ」と言う感じでした。(本人に向かって!苦笑)

車椅子の方でしたが、カウンターがある部屋に入ってもらって、カウンターにつかまって立ってもらいました。

立ち上がったところで、医師が、「もう一歩こっちに移動できる?」と自分に近い方へ、カウンターづたいに一歩半くらい移動してもらいました。

そこで、褥瘡をチェックしてから、座ってもらい、「さて、どのように褥瘡が出来てしまったか説明を聞きましょうか」という感じで、話始めました。

患者さんの説明は、この何か月か、家に定期的にフィジカルセラピストが来てくれて、運動したりしてたんだけど、新型コロナウィルスの関係でそれが途切れてしまい、そしたら褥瘡が… とのこと。

そこだけを聞くと、「本当にね、このコロナのおかげで、褥瘡にまで発展してしまって…」みたいな感じになりそうです。

でも、ここで、この医師が、「でも、今、貴方は立ったし、1歩も2歩も移動したよね? それなんだよ、貴方に必要なのは、それなんだ。まず、立ち上がることなんだ。

立ち上がらなかったら、一歩もない。

一歩がなかったら、二歩目も無いんだよ。

自分はwheelchair-boundの人だとか、思わないで欲しい。

立てるし、歩ける、って思って欲しい。

じゃないと、この先、ずっと褥瘡と一緒だよ。

コロナ関係無いから。」

と、ちょっと熱く患者さんに向かって「叱咤激励」とでも言いましょうか、「patient education」をしていました。

医師は大概、「治療はこんな感じでいいかな。じゃ、来週また来てみて。」という感じで短く終わるのですが、今日の医師は「何でまた褥瘡が出来ちゃってんだ」にフォーカスしました。

出来た褥瘡を治療することは特に問題ではなく、やはり、褥瘡予防に目を向ける方がもっと重要です。

でも、この医師のように指導?というか叱咤激励をしてくれる人は、実際にはあまりいないのでちょっとした感動でした。

昨今では、患者さんの気持ちを傷つけないよう、気持ち良く帰って頂けるようカスタマーサービス的な対応をする事が何となく求められているので、あまり単刀直入な意見をしない傾向にあります。

でも、この後、この無口であまり喋らない患者さんが、ボソボソこの医師に話をし始めたので、更に心を動かされました。私はこの時点で、長くなりそうだったので退場しました。

内容的にはどおってことないような発言なんですが、褥瘡予防の観点から言うと、本当にそれが一番なんですよね。そして、それを「医師が言う」ことに意義がある気がします。看護師が言うのとは大違い。