1.看護師は、看護プログラムでBKAの術後ケアを基本的に教わらない
2.圧迫ドレッシング材「Ace-wrap bandage」
3. 理学療法士 (PT, Physical Therapist) に教わった正しい巻き方
看護師は、看護プログラムでBKAの術後ケアを基本的に教わらない
何らかの事情で、膝下の脚切断(BKA/Below-Knee-Amputation)をされた患者さんが術後に入院して来られる時があります。
術後ということで、つい縫合された部分(incision line)のケアにばかり注意が行きがちですが、incision lineのケアと同等か、またはそれ以上に大切なのが切断部分 (Stump) のケアです。
術後、stump部分は腫れている場合が多いです。なので、「術後なんだから腫れているのは想定内」と思われてしまい、腫れがそのままになっている場合も多く見受けられます。
術後の浮腫は、圧迫ドレッシング材などできちんと押さえてあげる必要があります。が、しかし、看護師は、看護プログラム在学中は、圧迫ドレッシング材の巻き方を教わりません。学校によっては教えてくれたりするかもしれません。ラッキーな人は、実習中に教わる場面に出くわしたりするかもしれません。
看護プログラムはのコアカリキュラムは、州の監査を受けるので、巻き方を教わらなかったということは、それがコアカリキュラム外の事項ということでしょう。
というわけで、今日は、PTドクターに教わった正しい圧迫ドレッシング材の巻き方について書いてみたいと思います。
圧迫ドレッシング材「Ace-wrap bandage」
まず、圧迫ドレッシング材について簡単に説明したいと思います。
圧迫ドレッシング材は、通常「Ace-wrap」と呼ばれる伸縮性の包帯です。
CHF(心臓疾患)による下肢の浮腫などにも使用されます。また、Unna Bootドレッシング材の上に使用されたりもします。
ドレッシング材の端は、ベルクロ(Velcro/べりべりっと貼るやつですね)で留められるようになっています。ブランドによっては、未だに昔ながらの針で止めるタイプもあるようですが、ベルクロタイプが安全です。針タイプのを使用して、手や他の部分に針が刺さってしまって、新たな創傷を作ってしまう患者さんも多いからです。
Ace-wrapは、サイズが3”幅、4”幅、6”幅などがあり、Stump用に適しているのは4”幅です。2つくらい使いますが、無い場合は、せめて下のレイヤーだけでも4”幅にします。
わかりやすいように、リンクを貼れるかなと思って日本のアマゾンのサイトを見てみたのですが、すぐには見つけられませんでした。なので、日本ではAce-wrapバンドエイドのような商品は一般のお店では手に入りにくいのかな、という印象を受けました。
https://a.co/d/b4rrEgP (←Amazon.comで見つけた商品です。ご参考までに)
理学療法士 (PT, Physical Therapist) のドクターに教わった正しい巻き方
Ace-wrapは、上方向から下方向へ、lateralからmedialへ(外側から内側に向かって)というように巻きます。これが一番重要な部分です。このポイントさえ押さえたらいいよ、という感じです。
その他のポイントは、(1)持ち上げた膝をできるだけ真っすぐにする、ことと、(2)4”サイズのドレッシング材が望ましい、ということです。
その前に、肌にあたる部分にはガーゼロールを巻きますが、これは肌と圧迫ドレッシング材の接触を避けるためのものなので、軽く巻いてもらってかまいません。
最初にまず、Velcro部分を上側に向けて、膝上(腿)外側に置く形にして、その部分を押さえながら、内側下方向に向かって割とピンと伸ばして引く感じで巻きます。斜め左右に、全体的には、Stump部分が左右にタイトに抑えられる感じに巻くといいです。
写真を載せますが、この説明だけではわかりにくいと思います。質問がありましたら、是非PTに聞いてみてください。
このように巻く理由は、Tibialis muscleをTibiaの骨に正しい位置で定着させるためなのだそうです。
筋肉が骨に沿って正しい位置が定着されるかされないかで、その後、義足の装着の予後に多大な影響を及ぼしてしまうようです。
看護師のドレッシング材の巻き方ひとつで、患者さんのその後のQoL (Quality of Life) が変わってしまう可能性もあるということですね。