クリニックから電話で、患者さんが、オストミーに不具合があるから見て欲しいとのことでした。オストミーとは、人工肛門・人工膀胱のことです。
去年の秋、オフィスに電話が回って来て、この同じ患者さんが「コロストミーの不具合を見て欲しいから訪問看護師を回して欲しい」とお願いしてこられました。コロストミーとなると、人工肛門です。
患者さんの過去の記録を見ると、でも、結構頻繁に外来に来ていらっしゃる。こんなに来れるんじゃ、訪問看護師は受け入れてくれないんじゃない?というケース。
しかしながら、患者さんが、「クリニックに行くのが本当に大変」と切に訴えるし、実際、訪問看護師さんをお願いしてみたところ、2つ目のエージェントが、行けない理由を考慮して受け入れてくれることになりました。訪問看護のエージェンシーが、エバリュエーション訪問+コロストミーのエデュケーションをしてくれる、ということだったので、ホッとしていました。それが去年の秋。ちなみに、訪問看護は、患者さんのケースによっては、一回の訪問だけで済むケースも多いです。最初の訪問で、家族や患者さんがケアを学習して、その後は、普通の外来の診療時にフォローアップする、という感じです。
この度、また同じ内容の件だったので、電話をしてみましたところ、訪問看護師さんは何もしてくれなかった。ずっと同じ問題を抱えている、とのことでした。訪問看護師さんは、状態はごく普通だ、と言って帰ってった、とのこと。
とりあえず、クリニックに来てくれる機会があったらその時に、ということになりましたが、この方の問題は「sticking outしてるのが普通と思えない。もう一度ちゃんと診て欲しい。」ということでした。
患者さんは、電話で、なんでこんなにsticking outしているの?を繰り返します。それを聞くと、ストーマがそんなに出っ張っているんじゃ、10㎝くらい出ちゃってるのかな、と想像してしまいます。稀にそんなに出ちゃうことがあります。End-of-Lifeになると、急に出る場合もあります。
85歳の方ですし、写真を撮ってどうこう、というのは難しいし、それ以前に、写真を送ってもらってそれに対して意見をするのは、医療システム側としては避けたいところです。この先オンライン化が進んだらどうなっていくのかはわかりませんが、少なくとも今の段階では…。
PCPの予約を入れてもらって、外来に来てもらうことになりました。PCPの女医さんも、内科的なチェックもしたいから大丈夫、ということでした。この患者さんは高血圧とか糖尿とかいろいろ基礎疾患があります。
当日。
ペロッと服をめくって見せてもらったコロストミーのストマは、これまでに見たことないくらい美しい完璧なストマでした。ストマ周りの肌もピカピカ健康な肌で、ケアが完璧になされていたんだね、と、とても褒めたくなるようなレベルです。実際、普段どのようにケアをしているかを見せてもらっても、まあまあちゃんと出来ていました。(ストマは楕円だけど切り方が丸、とかいう細かい点はありましたが…。)
そして、Sticking Outしていたのは、ストマそのものではなく、左の下腹部だったのでした…。おおおおお~… そういうことでしたんですね…。
これはヘルニアの可能性大ということでしたが、患者さんは「何だかわかりたかったというだけで、実際は、botherしてるわけじゃない」とのこと。患者さんが気にならなければ、必ずしも手術をする必要もないのですが、それは医師の決定によります。
結局、この度は、Radiologyには回さなかったので、100%ヘルニアと決まったわけではありませんが、それだけで患者さんは、ハッピーに帰って行かれました。でも、そのままというわけにもいかないので、ちゃんとストマを造設した病院の予約を取ってフォローアップしてもらうこと、という事を理解してもらいました。
ちなみに、手術をしないヘルニアは、ストマの部分が丸く繰りぬかれた幅広のベルト(バンドという感じの)でサポートしたりします。この方の場合は、下着が高さもあって、結構サポートタイプだったので、これでも結構大丈夫かもね、という感じでした。