Convex Skin Barrierの定義的な特徴5つと選び方

一口にConvexと言っても、皆さんは、どのような視点でスキンバリアを選んでらっしゃるでしょうか。

WOCN Societyから出されている比較的最近のジャーナルで、Convex Stoma Barrier について書かれた記事がありましたので、内容を少しまとめてみたいと思います。

Convex状のスキンバリアには、Convexである旨の定義とも言える特徴があります。その定義について、WOCN Societyのパネリスト達とHolister社のエンジニア達が認識合わせについてのディスカッションをしたようです。

例えば、下の特徴の1つである深さに関して言うと、「Deep」は深さを表す言葉ですが、DeepかLightかという比較って、言葉の比較としては本来おかしいじゃないですか。でも、商品を作る企業さんは自由に名付けているわけで、その辺の意識合わせが必要なんじゃないか、ということみたいです。

さて、Convex Skin Barrier はストマ周りの肌を保護するバリアです。Convexityの作用で、肌を保護しながらウェイファーがより良く肌に付いてくれるのを助けます。これによって、パウチシステムの交換頻度を少なくできる、いわゆる、パウチシステムを長く保つことができる、というものです。

Convexのスキンバリアについては、レビュー的に書いてる過去の投稿がありますので、そちらも読んで下さると嬉しいです。Coloplast社から出ているConvexタイプのスキンバリア、SenSura Mioについてです。

Coloplast SenSura Mio Convex Pouching Systems Comparison (比較)

それでは早速特徴をあげてみたいと思います。次の5つなのですが、順に説明します。

深さ(Depth)

可圧性(Compressibility)

柔軟性(Flexibility)

張りの位置(Tension Location)

傾度(Slope)

企業サイトで説明されているスキンバリア選択オプション

参考文献(この度の記事)写真付きオープンソース

深さ(Depth)

Convexのスキンバリアの一目瞭然の特徴は深さがあることです。押すことによって、低い位置にあるFlush stoma(肌と同じ高さ)やretracted stoma (肌よりも低い位置にあるようなストマ)を出来るだけ外側へ押し出すことが出来ます。高さ的には大体5㎜くらいあります。

この際、あまり深いと(Deep type)押しすぎて褥瘡(stomal pressure ulcer)が出来てしまう可能性もあります。いきなりDeepから始めないで、「Light」あたりから始めたほうが良いようです。

Convex Skin Barrier

可圧性(Compressibility)

これは、指でスキンバリアを押した時に、簡単に押せることができるかどうか。

ストマ周りの肌が比較的張があって硬めの場合は、柔らかく圧のかからないものを選びます。また、柔らかくクリース(皺)が多い肌の場合は、少し圧がかかってストマ周りをサポートできる硬め(less compressibilityのもの)のスキンバリアが良い場合もあります。

いずれにせよ、スキンバリアのcompressibilityは、ストマ周りの褥瘡リスクに関係してくるので、選択の際は、ちょっと考えてみて下さい。

柔軟性(Flexibility)

柔軟性は、スキンバリア全体を手で持った時に、簡単に湾曲することができるかどうか。ストマ周りの肌はなるべく平らに保ちたいですが、柔軟性との兼ね合いを考えて、効果が得られる範囲でできるだけ柔らかいものを選ぶとよい、そうです。

Flexibility of Convex Skin Barrier

Flexibility of Convex Skin Barrier

張りの位置(Tension Location)

記事中では、TensionとPressureは違いますよ、という指摘が明確にされています。プレッシャーが単純に上からの圧なのに対し、テンションは、肌を横に伸ばす際にかかる圧みたいな感じです。スキンバリアを貼る際、私達はできるだけクリース(皺とか)を手で伸ばしながら貼るわけですが、そんなイメージに似ています。

テンションがかかるのは、コンベックス部分の円周の部分です。コンベックス部分の直径が大きければ(長ければ)、最大テンションの位置はストマから一番遠い場所にあり、逆に直径が小さければ(短ければ)、最大テンションの位置はストマから近い場所にあります。

Tensionの位置は、コンベックスでどのくらいの範囲をどれだけ押しているか、ということでしょうか。

スキンバリアを選ぶ際、ストマのサイズだけでなく、ストマとそれを取り巻く環境(お腹の肉とか)に合わせて、Convexの大きさを選ぶことになります。例えば、上からお腹の肉がかぶさっているような場合は、テンションの位置はできるだけ遠くに、いわゆる大きい円で押さえるようにします。

傾度(Slope)

スロープが緩やかならば、圧もゆるやか。できるだけ緩やかなスロープの物を選びます。

Termとしては、傾斜(Slope)には「緩やかなもの(shallow)」と「急なもの(steep)」があります。どちらが良いというよりも、ストマ周りの形状に合わせて選びます。記事では、「スキンバリアのとストマ周りの面は、ストマ周り (peristoma)と周りの(around the stoma)肌の高さを合わせるために、ミラーイメージであること」というように書かれています。

一般のストマ保持者の方向け 企業の説明サイト

一般のストマ保持者の方達向けの企業の説明サイト(Hollister社)には、Convexタイプのスキンバリアを選ぶ際のオプションは、ソフトかファーム(硬め)か、というように書かれています。あれだこれだ細かく言われたら余計に混乱する可能性もありますし。それでなくてもストマケア商品って物凄い選択肢があるのです。

初めてストマ商品を選ぶ際は、正直、使ってみるまでは合ってるかどうかわからない場合も多いでしょう。なので、多くの場合は、サンプルを送ってもらうことが可能です。遠慮せずにサンプルを送ってもらえるかどうか聞いてみると良いと思います。これは医療施設でも同じで、特殊なケースなどには、サンプルを送って貰うとよいと思います。

今日読んだこの記事は、OPENソースなので誰でも読めます。サイテーションは下記です(下の方のリンク)。興味のある方は是非見てみて下さい。写真も載っていて、勿論私の説明よりも全然分かり易いはずですので…。

参考文献(Reference)

Hollister. Convex Skin Barrier Options. https://www.hollister.com/en/ostomycare/ostomylearningcenter/usingostomyproducts/convexskinbarrieroptions

McNichol, L., Cobb, T., Depaifve, Y., Quigley, M., Smitka, K., & Gray, M. (2021). Characteristics of Convex Skin Barriers and Clinical Application: Results of an International Consensus Panel. Journal of wound, ostomy, and continence nursing : official publication of The Wound, Ostomy and Continence Nurses Society48(6), 524–532. https://doi.org/10.1097/WON.0000000000000831. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34781308/