Urostomy (ユロストミー) ストマケア看護

■ストマケア

■ストマサイトのMASD

■注意ポイント

■ストマケア

入院患者さんに、ユロストミー(urostomy)がある方がいらっしゃいます。がんやその他の疾患のために、膀胱機能が損なわれた際に造設される人工膀胱です。場所的にはお腹の右側に造られます。

日本語では、Urostomyのことを「ウロストミー」と呼んでいるようですが、実際は「ユーロストミー」です。状況的にウロストミーでも通じるかと思いますが…。尿のことを「urine/ユーリン」と言うので、Urineが出るストマということで、ユロストミーかと思います。

看護プログラム内の実習で、幸運にもストマがある患者さんの担当になった生徒は、ストマケアを経験できますが、その経験無しに看護師になる人も多いです。新しくストマを造設された患者さんは、患者さん本人も退院までにストマケアを学ぶ状態にあります。しかし、入院以前に既にストマと付き合ってきた患者さんは(入院理由は別にある)、看護師よりもずっとストマのケアが上手です。そのようなわけで、看護学生の私が最初に学んだストマケアは、患者さんから教わったものでした。患者さんの部屋で必要な用具を聞いて用意して、患者さんに教えてもらいながらストマのケアをしました。

■ストマサイトのMASD (Moisture Associated Skin Damage)

「WOCN」の「O」はオストミーです。コロストミーとかユロストミー、イレオストミーとか全部合わせた総称です。でも、今日、看護師が医師に頼んで「創傷ケア」で私にワークオーダー(この医師のオーダーがあって初めて患者さんの部屋に入れる)を入れていました。

創傷ケアの一環に「MASD」というのがあります。「MASD」はMoisture Associated Skin Damageの略で、その言葉通り、モイスチャーによる肌のダメージです。ストマケアもこれに含まれます。特にイレオストミーやユロストミーは、排出物が液体に近いため、ストマ周りの肌がぐちゅぐちゅに赤くなってしまったりすることが珍しくありません。

人工膀胱からは尿がたえず流れています。尿のpHは4.5~8.0、弱酸性の肌は4.5~5.5くらい、pHが8.0に近い尿が絶えず肌に触れていたら、肌はあっという間に炎症を起こしてしまいます。しかも、人工膀胱は一生付き合っていくものですので、きちんとしたストマケアは必須です。

今日は、先日から入院しているその患者さんのストマのケアが大変過ぎるということで、報告を受けました。看護師のシフトは12時間ですが、その間4回もシステムを取り替えたということで、何かがおかしすぎる、ということでした。

■注意ポイント

今日は基本的な注意事項を看護師と一緒におさらいしたので、書いてみたいと思います。私の好み(独断と偏見)も入っていますが…。

フランジの穴のサイズは正確に

付属のサイズ測定カードを使用して、きちんとストマのサイズを測って正確なサイズのフランジを用意する。看護師はとかくテキトウな感じに切りがちです。Rationale: ストマとの間が開きすぎていると、そこに尿が入り込み、スキンバリアを弱める。術後は別の意味で必ずちゃんと測ります。付属のサイズ測定カードは全て正円ですが、ストマが楕円形の場合は、正円を2つ組み合わせて測定します。

始めてケアする場合は特に、きちんとストマのサイズを測って正確にフランジを切ります。フランジというのは、ストマの周りにピッタリくっつけるハイドロコロイドのスキンバリアです。ストマ用のパウチシステムは、1ピースのものと、2ピースのタイプのものがあります。ハサミで適当なサイズに切るのは主に2ピースの方のフランジです。

フランジに触らない

フランジの接着部分に手で触らない。今日見ていたら、ナースが結構触っていたので、そんなに触っちゃんじゃ…ということで、新しいのを使用しました。

Non-Rinse Cleanser

ノンリンス(リンス不要)スキンクレンザーを使用する。Rationale: 泡の柔らかいクレンザーです。肌に残った粘着物や油分などを取り除いて、フランジを付きやすくします。施設等では、バスワイプ等で拭かれてしまう場合も多いですが、通常のADL用のワイプ類にはクリームやソープ類が含まれていて、ストマには逆効果です。

Skin Barrier Liquid

スキンバリア・リキッドを使用する。これ必ずこれなしにストマケアは出来ません。Rationale:スキンバリアは肌を保護すると共に、システムが肌にちゃんと密着するためのプライマーの役割をします。また、剥がす際にも肌を傷めにくくします。重要:つけた後は、完全に乾かします。

Stoma Ring

ストマリングを使用する。このリングはいろいろな呼び名がありますが、丸い輪っか状のハイドロコロイドです。手や肌で少し暖かくすると扱いやすくなりますし、付きもよくなります。患者さんは、そのようなわけで、ストマの上を手で押さえていることが多いです。Rationale: 追加のハイドロコロイドです。水分を吸って膨張し、フランジの使用時間を長くすることができます。

Stoma Powder

ストマパウダーを使用する。ストマパウダーは、肌の状態が良い場合は使用する必要はありません。肌がジュクジュクしてきたら、スキンバリアリキッドと併用してレイヤー(層)状に重ねて使用します。一番上はスキンバリアです。層状にすることを一般的に「パンケーキ」または「pancaking」と呼びますが、個人的には食べ物に例えるのは好きではありません。食べる度に思い出しちゃうじゃないですか。あまり頭に入れないようにしていますが、ストマ用語です。Rationale: ストマパウダーは、動物性のゼラチンで、水分コントロールをします。特に薬分が含まれているわけではないので、普段使いとして、ストマだけでなく、お腹周りや胸の下、足の付け根部分の真菌による肌の炎症の予防にも使用されます。使用の際は、粉を患部に振りかけるよりも、霧の噴射のように出して、出来るだけ薄い層になるようにします。余分な粉を振り払ったほうが、患部を良い状態に保てます。

Stoma Paste

ストマペーストの使用。ストマペーストを糊の代わりの感覚で使用する看護師が時々いますが、そのように使用されると次の担当看護師が困ります。ストマペーストは、前述のストマリングと同じ働きをするものなので、どちらか片方で良いです。個人的には、リングの方が好きです。リングやペーストは、難しい部位のNPWTの使用にも時々使われます。

こんな感じで、今日は看護師と一緒に患者さんのストマケアをしました。