先日、「予防医学とは」というタイトルでポストをしました(#277)。その際、コンテンツにウェルネスという言葉が入ったので、ここで改めて、ウェルネスについて書いてみたいと思います。
2020年の12月中旬にウェルネスについてツィートしているのですが、その時に描いた画像が下です。
上のイメージを使用して、ウェルネスを説明すると、ウェルネスとは、「身心のバランスと社会生活の中での個人の豊かさを目指す自己の意識や行動」というところでしょうか。この場合の「バランス」とは、個々の持つ様々な形の資源(リソース)と障害物(バリア)間のつり合いです。リソースに対してバリアが多すぎると、バランスは崩れ、ウェルビーイングの状態ではなくなります。ウェルネスは、そのバランスを意識的につりあわせていく作業を意味します。
ウェルネスという言葉の定義は、時の流れと共に変化してきています。ウェルネスは何かということを考える際、定義とは逆に、「これにあらず」という点も明確にしておく必要があります。「これにあらず」にあたるものは、「ヘルス」という言葉との違いです。
「健康である」というのは、とかく病気が無い状態にとらえられがちですが、そうなると、多くの高齢者は健康でない、というふうに括られてしまいます。年齢が上がるに従い、例えば血管は弾力性を失い高血圧病になりやすくなるでしょう。また、目や耳の機能も加齢と共に衰えていくでしょう。でも、だからと言って、高齢者は身心のバランスを失っているのかというと必ずしてもそうではありません。
参考文献(下記Reference)の中では、「Quality of Life (QOL)」についても言及されています。筆者は、QOLは、ウェルネスとは異なるものであるということをはっきり言っています。QOLが個人の主観で測られるのに対し、Wellnessは個人の持つ能力を最大限に出して、より良い状態になるようポジティブな意識で向かって行くそのプロセスです。
地域に、数年前に出来た「ウェルネス・センター(Wellness Center)」という建物があります。中では、ヨガや体操などが出来るジムやプールなどがあります。病院の付属の建物で、フィジカルセラピストによるセラピーなども受けられます。これは「Wellbeing Center」とはならなくて、あくまでも「Wellness Center」なのです。
参考文献の中からいくつかの文を原文のまま抜粋してみます。私が意訳するより良いかと思います。
Wellness transcends the absence of disease.
It is possible for someone to be in a state of wellbeing but not wellness.
Health is dependent on sufficient wellness.
(Bart et al., 2018)
Reference
Bart, R., Ishak, W. W., Ganjian, S., Jaffer, K. Y., Abdelmesseh, M., Hanna, S., … & Danovitch, I. (2018). The assessment and measurement of wellness in the clinical medical setting: A systematic review. Innovations in clinical neuroscience, 15(9-10), 14–23.