■ワクチン接種は自分と自分の子供のためだけではない「集団免疫」#207

様々な理由から、自分の子供にワクチンの接種をするのが遅れたり、「あえて」全くワクチン接種しない親の数が増加していることが問題になっています。

今、新型コロナウィルスに有効とされるワクチンの開発が進んでいますが、新しいものである故に、実際にそれを自分や自分の子供に接種するかと問われたら、賛否両論の間で迷い、いささか躊躇するのではないでしょうか。

それは置いといて、ここでは、コロナ用ではなくて、既に一般的になっているワクチン接種の話です。

麻疹(はしか)

麻疹(はしか)は、予防接種を受けることによって、高い確率でかからないで済む病気です。

しかし、2017年のヨーロッパで発生したoutbreakでは、予防接種率の低さから、多くの人が麻疹に感染してしまいました。

数字的には下記のような感じです。

ルーマニア (5,562)

イタリア (5,006)

ウクライナ (4,767)

その他ヨーロッパ各国

ヨーロッパでの感染人口数 計 21,315人 (うち死亡は35人)

(WHOからの数字)

予防接種率が低い理由は、一般的には、一番多いのは「knowledge deficit (知識不足)」とされていますが、ヨーロッパに関しては、今回のCOVID-19のoutbreakでも感じるように、医療体制の不備もかなり影響しているのではないかと思います。アメリカに関して言えば、それはあまり理由にはならないと思います。

そして、これは去年2019年の、アメリカにおけるはしかの感染者数です。

アメリカの麻疹の感染者数

2019年が、ものすごく多いです。これはCDCのウェブサイトからですが、感染者のほとんどは、予防接種を受けておらず、うち、73%以上は、NYにおける最近の感染者数に関係していると書かれています。

(Reference: Retrieved from: https://www.cdc.gov/measles/cases-outbreaks.html)

インフルエンザ

医療従事者は、ほぼ強制的に全員が受けるインフルエンザの予防接種ですが、一般の方達はオプショナル(任意)です。子供も、少なくとも公立の小中高では、お勧めこそすれど、任意です。

医師や医療従事者の中にも、自分は信じていないから、とか、またはその他の理由から、受けない人は何人かいます。患者さんに接する時にマスクを着用すれば、予防接種は必ずしも受けなくても良く、というわけで、インフルエンザワクチンの接種は、完全に強制的ではありません。

インフルエンザは、どうせ受けてもかかる時はかかるし、とか、タイプが違うインフルエンザには効かないし、とか思っている人は多いです。

しかし、リサーチによると、インフルエンザワクチンは、インフルエンザだけではなく、肺炎や中耳炎の予防にも効果的とされています。これは50%アップの確率で数字的な結果が出ているようです。

また、人々がインフルエンザの予防接種を受けることで、世界を救えるとしたら、それはどんなことでしょうか。

インフルエンザの予防接種を受けることで無駄な抗生物質の処方を減らすことが出来、その先にある抗生物質耐性菌を減らすことに繋がります。

ちなみに、今日勤務していた外科医は、インフルエンザワクチン接種をしない方針の医師です。患者さんがKeflexの服用で症状が向上せず(患者さんがちゃんと飲んでいなかったのが一番の原因)、他の抗生物質に変えられましたが、その際、患者んさんに「これ(現在ある抗生物質)は、comes in handyになる時があるかもしれないから取っとくといいよ」と言いました。ええええええ!そんなことをするから…。本当にもう…。

集団免疫 (herd immunity)

私達の生活の中では、目に見えない様々な菌と感染症のリスクが私達を待ち受けています。しかし、ワクチンの接種によって、自分や自分の子供を守るだけでなく、周りの人達の免疫も集団でその効力を向上することに繋がり、皆んなで守り合うことになります。それを集団免疫と呼びます。

逆に、自分達の信じる方針で、ワクチン接種をしないことにした場合、その数が増えると、集団免疫は負の連鎖で、耐性菌を増やす結果になっていきます。

報告によると、2050年には、世界の感染症による死亡率は、がんの死亡率を上回るとされています。

COVID-19では、自宅待機も含め、集団で戦わないとウィルスには勝てない、ということを人々は学んでいますが、ワクチンの接種も同じです。

下記参考文献には、集団免疫のコンセプトの図解説明が出ています。カラーの図解なので、もし興味のある方はご覧になってみてください。

参考文献/Reference

Damnjanović, K., Graeber, J., Ilić, S., Lam, W. Y., Lep, Ž., Morales, S., Pulkkinen, T., & Vingerhoets, L. (2018). Parental decision-making on childhood vaccination. Frontiers in psychology, 9, 735. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2018.00735.

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