余談「Unna Boot Dressing」
その後の経過 (追加)
静脈性潰瘍がある患者さんがいて、治ってもまたしばらくすると潰瘍になってしまいます。高齢だということもあり、回復に時間がかかります。
年齢は88歳ですが、ご自分で歩いてクリニックまで来られます。(時には家族に車で送られて来られます)
小柄で、肉類や乳製品もそんなに食べないようです。患者さんの多くは糖尿病を患っていたりしますが、この方はA1Cが4.5くらいです。そして、K+(ポタシアム/カリウム)値がとても低くて2.いくつです。2.7とかだったと思います。(←後でチェックしたら2.4でした!)ラボの欄には、値が赤字と「!」マークで表示されています。これに関しては主治医におまかせしています。でも、この値は長い間そんなに変わらなくて、体がその値でなじんじゃってるのかもしれません。普通ならその値は、危険なくらいなのですが、本人いつも普通に歩いて外来に来ます…。
で… 潰瘍ですが、悪くはならないものの、あまり良くもなりません。今回も時間がかかっています。いつも直ぐに炎症を起こしてしまうので、今まで何度も抗生物質のお世話になっています。それが心配で、salineとdakin’s solutionを半々で使用しています。コンプレッションをするのを嫌がるのですが、「TubiGrip」なら圧も弱めなせいか、受け入れてくれて使用してくれています。
フォームドレッシングの類は、本人や家族にとって難しいので、とにかくガーゼを頻繁に交換してもらうようにしています。以前は、Unna Boot Dressingで治療して週に2回交換する感じで良くなっていたので、本人は、今回もUnna Boot Dressingを希望していました。でも、ドレイネイジの量がちょっと多いので、それは今回は却下になりました。Unna bootでも頻繁に交換できたらそれでも良いのですが、頻繁に交換する際の訪問看護師さんや家族の都合があって、本人の希望は今回は叶いません。
医師と「やっぱり栄養かな」となって、ZincをZinc-oxideのドレッシング材から摂ってみましょうか、ということになりました。そうです、zinc-oxideのドレッシングはUnna bootです。巻くんじゃなくて、切って、ドレッシング材として使ってみようと思います。それで頻繁に交換する形で…。
というわけで、明日また来てもらって、明日から始める予定です。良い結果をこちらで報告できたらいいなと思っています。
余談「Unna Boot Dressing」
各社から出てるUnna boot dressingですが、各社の各製品は、定義は抑えられているものの、微妙に違います。
私が愛用しているUnna bootは、とかく品切れで、今回もバックオーダーだったので、しょうがなく他社のを注文しました。他社のは値段も高いです。そしてやっぱりダメでした。製品によっては足にフィットしないのです。
学生さんがクリニックに研修に来る時は、「うまく巻けなくても、それは貴方のやり方じゃなくて品物のせいなので、don’t get discouraged (気にしないで)」と言います。
なので、「うまく巻けないなあ」と思ってる方がいらっしゃったら、品物を替えてみると良いかもしれません。それほど大きな違いがある悩ましいUnna boot dressingなのです…
ちなみに私が好きなのは「Econo-paste」という名前のです。中にプラスチックの芯があって(これがあると片手で巻ける)、しなやかで伸びも良いです。ひんやり感も違います。仕上がりも美しいです。見た目なの?と思われるかもしれませんが、「見た目がいい=効能も良い」になります。本当に。是非試してみて下さい。
その後の経過 (2週間後)
この患者さんは、訪問看護師さんがいることもあって、そんなに頻繁には外来に来ないのですが、先日電話で家族の方が状態を報告してくださいました。「It is improving.」と言っていたので嬉しかったです。来週あたり外来に来るらしいので、状態を見るのが待ちきれないです。