Zinc(亜鉛)をドレッシング材で補ってみる(写真)

■余談「Unna Boot Dressing」

■その後の経過 (追加)

■結果良好で、無事完治しました。

静脈性潰瘍がある患者さんがいて、治ってもまたしばらくすると潰瘍になってしまいます。高齢だということもあり、回復に時間がかかります。

年齢は88歳ですが、ご自分で歩いてクリニックまで来られます。(時には家族に車で送られて来られます)

小柄で、肉類や乳製品もそんなに食べないようです。患者さんの多くは糖尿病を患っていたりしますが、この方はA1Cが4.5くらいです。そして、K+(ポタシアム/カリウム)値がとても低くて2.いくつです。2.7とかだったと思います。(←後でチェックしたら2.4でした!)ラボの欄には、値が赤字と「!」マークで表示されています。これに関しては主治医におまかせしています。でも、この値は長い間そんなに変わらなくて、体がその値でなじんじゃってるのかもしれません。普通ならその値は、危険なくらいなのですが、本人いつも普通に歩いて外来に来ます…。

で… 潰瘍ですが、悪くはならないものの、あまり良くもなりません。今回も時間がかかっています。いつも直ぐに炎症を起こしてしまうので、今まで何度も抗生物質のお世話になっています。それが心配で、salineとdakin’s solutionを半々で使用しています。コンプレッションをするのを嫌がるのですが、「TubiGrip」なら圧も弱めなせいか、受け入れてくれて使用してくれています。

フォームドレッシングの類は、本人や家族にとって難しいので、とにかくガーゼを頻繁に交換してもらうようにしています。以前は、Unna Boot Dressingで治療して週に2回交換する感じで良くなっていたので、本人は、今回もUnna Boot Dressingを希望していました。でも、ドレイネイジの量がちょっと多いので、それは今回は却下になりました。Unna bootでも頻繁に交換できたらそれでも良いのですが、頻繁に交換する際の訪問看護師さんや家族の都合があって、本人の希望は今回は叶いません。

医師と「やっぱり栄養かな」となって、ZincをZinc-oxideのドレッシング材から摂ってみましょうか、ということになりました。そうです、zinc-oxideのドレッシングはUnna bootです。巻くんじゃなくて、切って、ドレッシング材として使ってみようと思います。それで頻繁に交換する形で…。

というわけで、明日また来てもらって、明日から始める予定です。良い結果をこちらで報告できたらいいなと思っています。

余談「Unna Boot Dressing」

各社から出てるUnna boot dressingですが、各社の各製品は、定義は抑えられているものの、微妙に違います。

私が愛用しているUnna bootは、とかく品切れで、今回もバックオーダーだったので、しょうがなく他社のを注文しました。他社のは値段も高いです。そしてやっぱりダメでした。製品によっては足にフィットしないのです。

学生さんがクリニックに研修に来る時は、「うまく巻けなくても、それは貴方のやり方じゃなくて品物のせいなので、don’t get discouraged (気にしないで)」と言います。

なので、「うまく巻けないなあ」と思ってる方がいらっしゃったら、品物を替えてみると良いかもしれません。それほど大きな違いがある悩ましいUnna boot dressingなのです…

ちなみに私が好きなのは「Econo-paste」という名前のです。中にプラスチックの芯があって(これがあると片手で巻ける)、しなやかで伸びも良いです。ひんやり感も違います。仕上がりも美しいです。見た目なの?と思われるかもしれませんが、「見た目がいい=効能も良い」になります。本当に。是非試してみて下さい。

その後の経過 (2週間後)

この患者さんは、訪問看護師さんがいることもあって、そんなに頻繁には外来に来ないのですが、先日電話で家族の方が状態を報告してくださいました。「It is improving.」と言っていたので嬉しかったです。来週あたり外来に来るらしいので、状態を見るのが待ちきれないです。

結果は良好で、無事完治しました。

結局、再発から最初の2か月半くらいの間、創傷サイズは行ったり来たりで小さくなりませんでした。くるぶしのすぐ上にある潰瘍は、2~3㎝くらいのサイズで、小さめですが、それ以上小さくもならず、という感じがずっと続きました。

とうとう、Zinc-oxideのドレッシングを始めたのでしたが、それからサイズが順調に小さくなっていって、4~5週間で完治にいたりました~。すごく嬉しいです。

写真の感じで、ロール状になってるものを20㎝くらい切って、たたんで、ドレッシング材として使用しました。最初のうちはドレイネイジがあったので、家族の人に一日二回交換してもらいました。4、5週目くらいにはドレイネイジ量も減ったので、家族の人に「一日一回でいいですよ」と言ったのですが、家族の人は、「いや、いいです、2回交換したいです。そして治りたいです!」と言って、ずっと2回交換してくれていました。感謝です。

結局、2~3㎝くらいの潰瘍が、使用し始めてから、一か月ちょっとくらいで、治った感じです。患者さんもニコニコ顔で、私もとても嬉しいです。

Zinc-Oxide Dressing

「Zinc-Oxide Dressing」こんな感じで、Unna Boot Dressingを切ってたたんで使用しました。これはピンクのですが、白い普通のでも大丈夫です。