Scabies (疥癬虫) と Wound Care

Wound careには、皮膚の状態が付きもの、と言っても、例えば、発疹などは必ずしもWound careの範疇ではありません。ですが、その境目は曖昧で、例えば痒みに伴って掻き傷 (excoriation) が出来てしまったら、Wound careが必要になります。痒みによって掻き傷が出来ちゃうのですが、傷のケアに加え、その掻き傷の根本的な原因は何か、という解明作業が必要になります。

というわけで、今日は「Scabies」に関する内容で書いてみたいと思います。主に診断用のテストについてです。

Scabiesは、Long-Term Careなど高齢者の方達が多くいる施設では度々見られます。

Skin Scraping Test

このリンクのサイトに画像付きで詳しくコツなどが載っています。↓

Michigan Department of Community Health. Scabies Prevention and Control Manual. https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/fullarticle/420175

ちょっとコツを抜粋すると…

皮膚のサンプルは、数か所から採る。Scabiesの80%は、指と指の間の「Web」に生息します。あとは、脇や、背中、腹部、肘、膝、などです。上のリンクサイトの10頁目に絵があるので参考にしてください。

ミネラルオイルを塗って、Scalpelを直角に立てて、burrowがあるであろう箇所を削り取ります。Scabiesは、肌の深い層には入り込まないので、削り取る際に血が出てしまったら、それはちょっと深く削りすぎ、ということのようです。

Ink Test のインクは何を?

肌をScalpelでscrapeしてラボに出す作業の前に、外来や患者さんのベッドサイドで比較的簡単にできるテストが「Ink Test」です。

多くのサイトに「Fountain Penのインクを肌にこすりつける」のように書かれてあります。が、そもそも万年筆を持ち歩かないので、代用が必要です。

代用できるのは、「Dark-color water soluble wide-tip marker pen」です。

Dark color – Scabiesのburrowの線が目視しやすいように濃い色のインクで。

Water soluble – 水やアルコールワイプで消さないといけないので、水溶性がいいですね。

Wide tip – 太い方が塗りやすいです。

Ink Test の際、どのくらいの時間を置くの?

いくつかのサイトで時間をチェックしてみました。サイトによっては、「a few seconds (Braun et al., 2008)」のところや、「a few minutes」のところがありましたが、いずれにせよ、短時間で大丈夫ということでしょう。でも、あくまで「万年筆用のインク」を使用した際の時間だと思うので、マーカーのインクが染み込ませる場合は少し多めに時間がかかると思ったほうがいいかもしれません。

表面のインクは、水やアルコールワイプで拭き取ります。

その他

Scabiesは、3~4日で卵からかえります (P. 5)。一生涯の期間は、雄が2週間、雌が一か月程度ですが、その間に、また卵を産み付ける、というサイクルになるので、ホスト側にとっては、サイクルはずっとは続きます。成長した体のサイズは、数㎝にも及ぶ場合もあります (P. 14)。

Reference

Braun RP, Thomas L, Kolm I, French LE, Marghoob AA. The Furrow Ink TestA Clue for the Dermoscopic Diagnosis of Acral Melanoma vs NevusArch Dermatol. 2008;144(12):1618–1620. doi:10.1001/archderm.144.12.1618. https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/fullarticle/420175

Michigan Department of Community Health. Scabies Prevention and Control Manual. https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/fullarticle/420175