一見するとガムテープみたいなテープです。英語ではダクトテープ、みたいな感じです。
患者さんの部屋に持参すると、「え!ダクトテープで?」と速攻で言われました。笑
この患者さんは、ガーゼのパッキングを一日に二回(+補強)するので、テープを貼ったり剥がしたり、と、その度に痛いのです。
肌の保護、そして、剥がれないようにもしないといけないので、スキンバリアを塗ると、しっかり付いて、これまた剥がす時が大変。
シリコンのドレッシングだと、どうも弱くて(この方の場合)シリコンドレッシングを結局テープで補強したりして…。
そういうわけで、このHY-TAPE(ハイテープ)なるものを使用することになりました。
これは、主に、ストマがある患者さんが使うような設定で売られています。ストマとは、オストミー(コロストミーとかイレオストミーとか)の患者さんのお腹にある人口肛門です。
人口肛門からは、無意識的に便が出て、場所によっては水分が多い場合もあり、オストミーのパッチがその水分によってちょっと剥がれ気味になってしまうことがよくあります。そして、そのちょっと剥がれた場所の肌がその水分の成分によってやられてしまって、肌が真っ赤になってしまったり皮膚が剥がれてしまったりして、とても辛い状態になります。
そのような箇所で活躍するのがこのテープで、表面にZinc Oxideがコーティングされています。
Zinc Oxideは、赤ちゃんのおむつかぶれや、高齢者の患者さんのお尻部分のただれなどにも効くもので、広く使われています。
そういう意味でも、このテープは、小さい子供や高齢者の方に特に向いています。
これのテープを使用した感じは、患者さん曰く、「くっつきは他のテープと同じだけど、剥がす時は、シリコンと同じ感じ」だそうです。
自分の腕に貼ってみるとちょっと感じはわかります。
このハイテープは、使用時にスキンバリアが不要です。
では、スキンバリアを使用するとどうなるか、と言うと、良く張り付きすぎる場合がある、ということで、逆に剥がすのが大変になって肌を痛める結果になる時がある、とのこと。(ハイテープの担当者曰く)
なので、状態によって対応する、という感じです。
退院する患者さんには、使用するアイテムが少ないほどいいので、このテープを使用するとスキンバリアが要らないから、と言うことが出来ます。(傷周りの保護はまた別の話で、そこにスキンバリアが必要な場合もあります)
というわけで、これを使用して、落ち着きました。ドレッシング交換の苦痛が和らいで本当に良かった。
このテープ剥がしのために、不要な痛み止めを何度も飲む、っていうのもどうかと思います。
痛いのはそこだけだった場合は、です。
この患者さんは、退院して行ったので、このテープはアマゾンで購入できるから、という旨お知らせしました。
そう…、創傷のケアはお金がかかるのですよね…。
保険が効く場合もありますが、ほとんどの場合は、効きません。
そして、幸運にも保険が効く場合、上手くコミュニケーションを取らないと、包帯だけが山のように送られてくる、とか、「なんでっ?!」みたいな状況が起きたりします。
私の見た限りでは、今まで保険が効いてた人は、やっぱり創傷の状態からして長期のケアが必要な場合でした。
また、保険の種類にもよるし、そして医師や病院側からの要請がある場合。
1人は労災系だったので、手袋からアルコールワイプまで来ていました。
後日談
残念な後日談…。
先述の患者さん、フォローアップでクリニックを訪れたのですが、以前使用していた紙テープ使用でした。Hy-Tapeじゃなくて…。
「ハイテープ、駄目でした?」と聞いたら、一緒に来ていた孫娘をちらっと見てちょっともごもごっとしてらして… 家でドレッシング交換をしてくれている孫娘が「このテープ、手にくっついちゃって、手袋外さないといけないし、もうハンドルが大変で出来ないの!」とのこと…。
それと却下のもう一つの理由が、サプライをVNA(訪問看護師)に持ってきてもらっているので、その中に入ってないし、別個で自腹でアマゾンで買う、という選択肢がちょっと…、とのこと。
患者さんは、お世話をしてくれている孫娘がいいようにしたいし、それならば、ちょっとくらい痛いのは我慢できる、ということだと思います。
病院だと、このテープは痛いから嫌、とかいろいろわがままも聞いてもらえるけど、家で孫娘わがままは言いたくない、ということだと思います。
いずれにせよ、そういうわけで、テープ1つにもいろいろな事情が絡むということで…。