尾てい骨部分に、6.0 ㎝ (L) x 8.0 cm (W) x 1.0 cm (D) くらいの褥瘡がある患者さんがいました。
OR (手術室)で外科医がwound bedを綺麗にデブリーメントをしてくれたので、Wound bedは綺麗なピンク色をしていました。術後のケアとして、外科医から「ぱっと見ではわかりにくいけど、骨がちょっと出てしまっているから、一日に二回、0.125% Dakin’s solutionでmoist packして」とのオーダーがありました。
しばらくして、フロアのナースが、「Woundが青い酷い色になったので、Wound cultureを取った」と言いました。「青い酷い色… ってどんな感じなんだろう…?」と思いながら、そのulcer(潰瘍)を見に行きました。見たら、Wound bedは綺麗なままで、でもしかし、一部分、黒ずんでいます。その時のドレッシングは、厚ぼったい量のガーゼが患部に当たっていました。ナースとしては、ガーゼの量を少なくするとドレイネイジがドレッシングに貫通して(外には出ませんが)、交換しなければならない状態になる、ということだったのかもしれません。
でも、この一部ボール状に近い感じのガーゼがWound bedの一部を圧迫していて、そこがischemicな状態、または、細胞がhypoxicな状態になってしまったようでした。
ちなみに、「ischemic」な状態と「hypoxic」な状態の違いは、前者が血流が充分に行きわたらない状態で、後者が酸素が充分に行きわたらない状態です。ここでは、ざっくりとした意味的にはどちらも同じです。
丁度いいタイミングで、廊下で外科医が喋っている声が聞こえたので、急遽一緒に見てもらいました。やっぱり「ガーゼが押しすぎだから減らして」という同じ意見でした。
ガーゼの量を具体的に明記したら、黒ずみは2日後には消えていました。
Pressure ulcer の wound bed に新たに pressure injury を起こしてしまったケース、ということでしょうか。
稀に、「terminal ulcer」が疑われることがあります。「End-of-life」の患者さんに起こります。死期が近づいている場合です。通常は、肌がDTIと見間違うような紫色になりますが、今回のように、既に褥瘡状態になっているところに起こるのは見たことがありません。が、一般的には、違いは、上記のように、扱いを変えても状態が良くならないです。そして、進行が比較的早いです。なので、論理的には、上記のような状態でも、細かく観察することで、違いを見分けることができると思います。この患者さんは、「End-of-life」の状態と言えなくもないのですが、今回は、患部は回復に向かいました。
今回学んだこと…
人によっては、あのピンク色の組織が少し黒ずんだ状態を「青くて酷い状態」ととらえるのか、と少し驚いて、改めて、ケアプランは出来るだけ具体的に書かないとダメなんだな、と反省しました。そして、wound cultureについてですが、それに関しては、追って別に書きます。