■「Regranex」による成長因子セラピー #258

Ragranexとは
血小板由来成長因子(PDGF)
治療予定だった患者さん
使用にあたって

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「Regranex」とは

Smith & Nephew 社から出ている「Regranex」という商品があります。ジェネリック名は「becaplermin Gel 0.01%」。タイトルにもあるように、成長因子成分が含まれたジェルで、主に糖尿病性潰瘍の治療に使用されます。(Smith & Nephew社さんのRegranexに関する詳細サイトはこちらです

このジェルは、使用条件が整って初めて使用できる高額な薬で、事前に保険会社からの承諾を取る必要があります。15gのチューブで数百ドルする薬ですが、糖尿病性の潰瘍は、治癒しない場合は、これに比べ物にならない位医療費がかかります。足の部分切除やそれにともなう入院やリハビリ等にかかる費用に比べたら、このジェルは安価と言えます。

先に述べた使用条件というのは、次のような点です。

1.糖尿病性の潰瘍であること。それ以外の潰瘍にも使用されることはあります。2.潰瘍のサイズが一定の面積以下であること。この薬は、あまり大きな潰瘍の治療には望ましくないです。3.毎日2回の創傷ケアが行われる環境にあること。一日二回の創傷ケアを長期にわたってするのは容易ではありません。それに加え、効果が得られるには正しい創傷環境にしなければいけない。これを快く引き受けてくれる家族や友人の協力は必須です。でも、これはなかなか大変。4.家で薬を冷蔵庫で管理できる環境にあること。この薬は、冷蔵保管が原則です。5.そして、最も重要な点ですが、がんを患っていないかどうか、です。成長ホルモンは、細胞の成長や増殖を促進するもので、これにはがんの細胞も含まれてしまいます。

血小板由来成長因子(PDGF)

成長因子は、よく成長ホルモンと同じ意味合いで使用されますが、厳密には違います。成長ホルモンは成長因子のもとになるものです。成長ホルモンによって様々な成長因子が作られます。

成長因子にはいくつかの種類があります。その中でも、Regranexの成分は、「血小板由来成長因子(PDGF)」というものです。PDGFは、間葉系細胞を活性化して増殖させます。しかし、これが前述のとおり、がんの細胞も含んで活性化させてしまうため、Regranexはがん患者さんやがんに罹患するリスクがある患者さんには使用されません。

治療予定だった患者さん

何週間か前に、足の専門医からRegranexを使用する旨のオーダーが出されたので保険会社の承諾を得ました。

薬は間もなく患者さんの自宅に届けられ、翌週の外来受診時から使用することになる予定でした。しかし、その患者さんが急遽、心臓の開胸手術を受けることになり、残念ながら治療は延期となりました。

これには医師も私もがっかりだったのですが、こればかりは仕方ありません。糖尿病性潰瘍を患う患者さんは、ほとんどの場合、他の疾患も併せ持っていて、この患者さんは、加えて透析患者さんでもありました。そのような患者さんは、今日体調が良くても明日はわからない、という位、健康に問題を抱えています。

この患者さんは、退院次第、Regranexによる潰瘍の治療を再開しようね、ということになっています。

入院中に潰瘍が回復する人もいます。患者さんは、入院中、多くの時間をベッドで過ごすので、足にかかる圧力が格段に減ること、と、他の疾患の為の抗生物質の薬などが同時に効果を発するためです。更に、毎日のケアが家族から医療従事者によって行われる点や、シャワー後のケアなどがきちんと行われたりする結果です。そうなってくれることを願っていますが、まだ退院には至っていません。

使用にあたって

この箇所は、オリジナルの投稿後、変更・更新をしています。

Regranexは12時間ON、12時間OFF

Regranex使用の際、ドレッシング材の交換は一日2回。朝と夜。そして、Regranexを患部に塗るのは12時間のみ。ということは、日中か、夜間寝ている間か、のどちらかになります。日中か、夜間、どちらの時間にRegranexを患部に塗るかは、患者さんの生活スタイルに合わせた形で構いません。製造販売元の資料によると、FDAが承認している服用量は一日12時間まで。そしてその服用量はあくまでリサーチに基づいた結果です。

12時間ONは、夜間か日中か

成長ホルモンは、主に夜間の就寝中に分泌されます。そのため、成長ホルモンを使用した毛髪剤などは、夜就寝前に使用するよう推奨されているようです。そのため、日中は成長ホルモンの値が低いことになります。

Regranexを使用の際、分泌量が少ない日中の時間帯をジェルで補ったらどうか、と思うのですが、その点はどうでしょうか。一口に成長ホルモンと言っても、前述のとおりRegranexの成分は、主に血小板由来の成長因子(PDGF)で、この具体的なタイプの成長因子の具体的な分泌時間は今の所明らかにされていません。よって、患者さんの生活スタイルに合わせた形で使用可能、ということになります。

湿潤環境

Santyl同様、Regranexも湿ったガーゼ等で覆うことが求められています。しかし、酵素のアクティベーションが必要なSantyl軟膏に比べ、Regranexを湿ったガーゼで覆うのは、あくまで湿潤環境を保つためです。そしてまたこれもリサーチ結果に基づいた使用方法ということで資料に載っています。

潰瘍に十分なドレイネイジがある場合や望める場合は、それだけで良いとされていますが、私は個人的に、ドレイネイジが有る場合でも、上から湿ったガーゼを被せます。ドレイネイジの量はあてにならない場合もあるからです。

保管温度

Regranexは、冷蔵保管が原則です。冷蔵庫の温度は0~10度C。Regranexは、2~8度Cの間で保管、ということになっています。