ドレッシング材は、どんどん進化を続けています。
創床 (wound bed) にsloughがある場合、とりあえずのゴールは、そのsloughを取り除き、red & moist でクリーンな創床 (wound bed)を確保することです。
sloughには、一部分だけの状態、全体が覆われた状態、乾いてるもの、ぐちゃぐちゃ湿ったもの、とその状態は様々です。
外来に、高価なドレッシングを惜しげも無く使用できているラッキーな患者さんがいます。
この高価なドレッシング材は、一枚(大体10cm四方くらい)$20以上の価格です。これはあくまで医療施設の購入価格です。そしてこれを週に二回取り替えています。
PolyMem 洗浄してくれるフォームドレッシング
患者さんの創傷は、静脈性の潰瘍で、この使われているドレッシング材は、PolyMemというピンク色の、フォーム系のドレッシングです。
この一見ただのフォームドレッシングみたいのが、何故にそんなにお値段が高いのか。
それは、このドレッシングが、アプライ(貼ってる)しているだけで、傷床の洗浄までしてくれる優れものだからです。
どうやって、貼ってるだけのドレッシングが傷面の洗浄までしてくれるか、ですが、まず、ドレッシング材は、フォームですので、他のフォームと同じように、ドレイネイジを吸い取り、それをドレッシング内に確保します。
それと同時に、ドレッシング材に含まれている、「●●●●」が、ドレイネイジと交換するかのように傷床面に放出されて、それが更に吸い取られます。この作業を繰り返しながら、傷床面は洗浄されていく、という理屈です。
その●●●●とは… 界面活性剤です。
英語でsurfactantと言います。
え~、食器用洗剤?と、つい思ってしまいますよね。そう、これが試験に出ると、ついそういう発想から回答を間違える人が多いです。
界面活性剤は、創床面に張り付いたsloughを無理なく剥がしてくれる役割をしてくれます。
フォームなので、ガーゼのように傷面にへばりつくこともなく、剥がす時の痛みもありません。
強いて言えば、ドレイネイジの量及び使用日数などによっては、創床面に水分が多く与えられて、ハイパーグラニュレーション気味になる可能性が大、ということです。でも、それは、その都度、適宜対処していただくとして…。
UrgoCleanというドレッシング材
さて、もう一つ、こちらは特に洗浄はしませんが、その吸い付き加減に特徴があるドレッシング材があります。
UrgoCleanと言って、これは価格がPolyMemの半分くらい。
こちらは、ドレイネイジの吸い取りが、absorb(吸う)というより、磁石のごとく吸い付く、という感じで、比較対象の他のドレッシング材に比べ、パフォーマンスが明らかに上です。
UrgoCleanは、Urgo Medical社から出ている製品で、こちらのウェブサイトでは、このドレッシング材のアクションを説明した動画が見られます。(http://www.urgomedical.com/products/urgoclean/)
以上、sloughを剥がす”desloughing”に効果を発揮するドレッシング材二つを挙げてみました。