術後に使用されることが多い「Iodoform packing stirp(パッキング・ストリップ)」は、ガーゼ製のリボンにbiotic iodineが付いているものです。ドレイネイジがあるOpen woundにパッキングされます。
Iodoformとは、クロロホルム(Chloroform)に類似するもので (Darvell, 2018)、ヨードホルムとも呼ばれます。医療用の医薬品です。
商品の呼び方もいろいろあって、Nu-gauzeと呼ばれる時もあります。ドクターが「Nu-gauze」と言う時、一瞬、「今、ガーゼって言いました?」ってなる時があるので、はっきり確認します。私はドクターの目の前に物を見せて「これですね?」と確認します。なんと思われようと、勘違いするよりいいじゃないですか(笑)。
- Iodoform/plain Packing Strips
- Nu-gauze
Amazon.comにある商品のリンクを載せておきますね。ご参考までに。
https://a.co/d/bkCYysn (←こちらです。こちらはIodine付き)
https://a.co/d/hfnqw8h (←こちらは、プレインなタイプ)
Iodoform Packing Stripsの使い方と注意点
Iodoform Packing Stripは、Saline(生食水)等に濡らさず、そのままDryな状態でパックします。
容器に入ったPacking Stripsは、Dryな状態に見えますが、実際には少し湿っています。
Dryな状態で使用する理由として、諸医療従事者の掲示板では、「生食水に浸けると、リボンのIodineが流れ落ちてしまうから」と書かれてありました。が、iodoformは「somewhat oily」(Darvel, 2018)、「ちょっと」油分があり、生食水に短時間(1分とか)浸けたくらいで簡単に流れ落ちないんじゃないかとも思われます。また、前述のとおり、Iodoformとは、ヨードホルムというもので、水溶性ではありません。が、しかし、この商品に使用されている「ちょっとの油分」がどの程度なのかはわかりませんし、看護師によっては、何分も生食水や精製水に浸けてる人もいるし、流れ落ちる可能性も否定できません。
総合すると、総合しなくてもいいんですが、Dryなままで使用します。
実際は、創傷サイトをSalineで洗ったら、湿った状態になっているので、それだけでも十分湿った状態になっています。創傷をSalineで洗浄して、そのままDryな状態のPacking Stripを軽くパックする、という感じで良いと思います。
Activateする必要性とか、そのようなものもありません。商品サイトにも書かれていません。
Iodineが付かない「プレイン(plain)」なタイプのものは、殺菌効果がありません。なので、Dakin’s solutionに浸してからパッキングするように、というオーダーが出される場合もあります。
全てのパッキングは、「Lightly pack」にします。創傷サイトにぎゅうぎゅうに入れてしまうと、パッキング材からの圧迫で、その周りの皮膚組織の血流が悪くなってしまうからです。術後(手術中に外科医が入れた分)のパッキングは、結構ギュウギュウに大量に入っていますが、これは手術室ならではの量なので、その後は同じだけの量は入れられないのが普通です。
パッキングを入れる際は、場所によっては非常に痛いです。そのままだと患者さんが泣いてしまうような痛みの時もあります。事前に痛み止めの薬を飲んでもらって、入れる際も瞬時に入れるくらいにして、出来るだけ患者さんの負担を減らすようにします。場所や状態によって、痛くない時は、全く痛まないです。
創傷のサイズが大きくて、パッキングが大量に必要…のような場合には、Packing stripsじゃなくて、ガーゼパッキングの方が適している時も多いので、医師のオーダーに従います。Iodoformのタイプが必要な創傷でしたら、ガーゼパッキング+Dakin’s solutionとか、同じく、医師のオーダーに従ってパックします。
Packing stripsに限らず、全てのパッキングにおいて、パッキングするのは必ず「1 item」です。2本入ってる、とかダメです。今、入院されている患者さんで、4㎝くらいの小さ目の創傷がある方がいます。woundのサイズは小さ目ですが、underminingがあるのです。それもちょっと深めの。時々そこに2″x2″サイズの小さなガーゼが何個も入っている時があって、それは絶対にダメです。取り忘れがあったら大変です。必ず「1つ」です。
余談
この度、IodoformについてReferenceにあるサイトなどを読む機会があり、歯科業界でも使われているんだ、ということとか、Blood-Brain Barrier (BBB)を通り抜けることができるものなんだ、ということについて読みました。創傷ケアではそこまで考えたりしないので興味深かったです。
Reference
Darvel, B. W. (2018). Iodoform. Material Science for Dentistry (10th ed.). https://www.sciencedirect.com/topics/immunology-and-microbiology/iodoform