Hydrofera Blue “Ready” というドレッシング材があります。従来のドレッシングに比べ、格段に使い勝手がいいです。従来のドレッシング材は、使い勝手が悪く、外来ではまず使用不可な感じでした。最近、Hydrofera Blur Readyを使用する頻度が高いので、従来のものとの違いを述べてみたいと思います。
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「Hydrofera Blue Ready」と「Hydrofera Blue」との違い
Hydrofera Blue
1.硬く乾いているドレッシング材に、使用時に水分を足して柔らかくする必要がありました。これは使用する少し前に水をかけておくと、フワフワの状態になってくれるので、一見なんら問題はないように思えますが、時間が経つと違います。時間が経つにつれて加えた水分が蒸発し、元のような硬さに戻ってしまいます。これだと、創床または創傷周りの湿潤環境を保つ点で劣ります。
2.Hydrofera Blueと聞くと、スタッフが「水を加える作業が必要ですよね?」と不安気になります。看護はチームケアなので、医療従事者は勿論、患者さんや家族を含め、いろいろな人がケアに参加します。しかしながら、使い方が難しいと、皆が同じようにケアできる確率が低くなります。一番よくわからないのが、加える水分量です。各自が加える水分量がまちまちになり、よって結果も予想しにくくなります。
3.外来の患者さんに至っては、ほぼ「無理」です。教えられたところで、何だか非常に面倒くさいしわからない。そうなると、ほとんどの患者さんは使いません。使い方を尋ねてくるようなこともしません。
Hydrofera Blue Ready
1. Broad spectrum anti-microbial dressing。Gram(+)のバクテリアにも、Gram(ー)のバクテリアにも対応します。Wound cultureを必ずしも取る必要がない。Wound cultureは、取っても結果が出るまで何日かかかるし、でもケアは今日から始めないといけません。そんな時、このグラム(+)にも(ー)にも対応できるドレッシングはとても便利です。状態がそれほど悪くない創傷に抗生物質の軟膏が出される場合がありますが、これは効く確率と効かない確率が50/50です。確率50%に賭けたくはないでしょう。
2. 水分を加える等の前準備が不要です。これはとても大きい利点です。
3. 時間が経っても、ドレッシング自体は同じ状態。硬くなる、ということもありません。湿潤環境を保つことができます。
4. 表面 (外側)が薄いビニール膜のようなもので覆われており、ドレイネージが漏れる心配がありません。
5. 外来でも使用可。切って患部に当てるだけなので、簡単で患者さんもあれこれ迷わなくて済みます。
6. レッシング交換の頻度が少なく済む。少なくとも毎日交換する必要はありません。フォームドレッシングなので、ドレイネージが多めの場合でも1日置きくらいでも大丈夫です。化膿する可能性のある創傷をwet-to-dry でケアしていこうと思ったら、1日2回は交換する必要があります。これは、患者さんにとって、とてもうんざりする作業です。
7. 経済的。ドレッシング材は、一枚が高価です。医療施設側の購入価格でも1枚(サイズは10㎝x12㎝くらい)25ドルくらいします。10枚入りの箱で買うと250ドルくらい。しかしながら、小さい傷が悪化することなく、小さい傷には傷と同じサイズに切って貼るだけで良いし、毎日交換する必要も無いです。ドレッシング交換に使用するサプライ、個人の時間などを考えると、経済的だと思われます。
以上、これらの利点を考えても、使用しない理由が見つからないくらいです。特に、高齢の患者さんの、とかく治りが遅い静脈性潰瘍などには積極的に使用しています。