今日は、某皮膚科に於いて、瘢痕組織が治るかどうかの質問に医師が答える場面に出くわしました。
創傷治癒後は、肌は元通りになった様に見えますが、全く元の皮膚に戻っているわけではなく、その部分は瘢痕組織(scar tissue)に変わっています。
一度、瘢痕組織に変わってしまった白い部分を外科的に切り取る手術の後は、白い部分は無くなっても、その代わりに今度は傷跡が残るわけで、どっちにしても多かれ少なかれ、元には戻らないわけです。
今日の場合は、顔にある瘢痕組織なので、患者は傷跡が残る方を選択しました。私ならどうするかな、と思いました。
入院中の50代男性、褥瘡の治癒が長期化してしまった結果、深さ5㎝の褥瘡の内側が瘢痕組織化してしまっていて、外科手術による治癒が勧められました。
更に、皮膚表面の創傷の周りが白くなっていて、見た感じ、マセレーション(水分を吸って肌がふやけてしまっている状態)かと思いきや、どうやらこれも既に瘢痕組織化していたのでした。
高齢者の褥瘡の場合、一度治癒して治っても、瘢痕組織化した肌は、以前と同じ強度ではなく、というわけで、その人の状態によっては、何度も同じ位置に褥瘡を繰り返すことがあります。
一年くらい大丈夫な状態が続くと、何とか強度も増すようですが、一度褥瘡を患う人は、その後も繰り返す傾向が強いので、注意が必要です。
リスクを判別するのに、医療施設ではブレーデン・スケールというツールが用いられますが、これには、「過去に褥瘡等の創傷を患ったことがあるか」とかいう事項はありません。
どうしてないのかなあ、といつも不思議に思います。それが一番大きな事項に成り得る気がするのです。