■ とかく足は見えにくい
■ 靴下は白をはく
■ 足の専門医のよる受診は定期的に
■ その他できること – 自分の病気を知る
とかく足は見えにくい
昨日、私のオフィスの同僚を訪ねて来られた方が靴下を脱いで自分の足を見せていました。私もその場にいたので、ちらっと見えました。
その方は、右足の親指は過去に既に切断済でした。その次の指が赤く腫れていました。が、本人と同僚は二人で「赤いけど傷は無いもんね。ただ赤いだけだよね…。きっとそこに靴が当たってるからなんじゃない?」と言っているのが聞こえました。
私もすぐそばに座っていたので、私もチラリと見ましたら… え?小さいけれど、そこには明らかに傷があるのです。
そうか… こういう小さい傷は見えないのね… と思いました。それが傷であるという認識が無いということなんですね。
どんな小さな傷でも、そこはバクテリアや菌にとって「Port of entry」、体に入り込む入り口です。
体が大きく肥満体の方は、目をできるだけ足に近づけるという体勢にするのが結構大変です。同僚を訪れた方は、やせ気味でしたが、身長の高い方でした。目から足までの距離が遠く、そして、視力もあまり良くないとのことでした。
足って目から遠いんですよね… 位置的に。
糖尿病がある方は、自分の足を毎日チェックする作業を毎日の慣習にしないといけないのですが、なかなか難しいです。また、たとえ症状があってそれを目視したとしても、前述のとおり、それが普通ではないという認識まで到達しない場合も多いです。
そこで、ここに対処法を2つあげてみます。
靴下は白をはく
同僚を訪問した友人の方が履いていた靴下は濃紺色でした。糖尿病がある人の靴下は、白が一番です。自分の足を目で見ることが困難な人は、特に、白い靴下を使用するとよいです。
毎日、一日の終わりに、脱いだ白い靴下を入念にチェックしてみてください。少しでも、ほんのちょっとでも血がついていたら、そこには何らかの傷があります。血液以外にもドレイネイジが出たりする時もあるし、どんな色でも何かついていたら、要注意です。
家族の人がいたら、一緒に見てもらって下さい。その箇所はよく洗い、箇所を綺麗に保ちます。もし翌日も血が出ていたり、赤くなってきていたり、どんな変化でも、すぐに足の専門医に診てもらって下さい。何もなかったらそれはそれでいいじゃないですか。
とにかく足の潰瘍は、一旦傷が大きくなると、治るのに時間がかかります。あっという間に傷が大きくなって潰瘍が出来上がってしまったりもします。
足の専門医の受診は定期的に
足の専門医は、とかく予約が取りにくいので、糖尿病がある人は、定期的に診てもらえるように予約をいれておくのをお勧めします。
予約がはいっていたら、それを緊急的に早めてもらうことが可能ですが、そもそも予約が入ってなかったら、軽く「緊急ならER(救急)に行ってください」と言われて終わりだったりします。特にアメリカでは。
前述の足の指が赤く腫れ気味の方、多分ですが、普通に主治医に診てもらっても「希望なら足の専門医にReferral出しますよ」でその日は終わると思います。そして、最終的に足の専門医の元へ到達するまで何日も経過すると思います。
繰り返しますが、糖尿病がある方は、デフォルトで定期的に足の専門医にかかって下さいね!
その他できること - 自分の病気を知る
糖尿病がある人で、自分の糖尿病を否定する人は結構いらっしゃいます。
認めたくないというのと、単純に知らない、という両方のタイプがあります。
どちらのケースも、糖尿病の薬を既に服用されていたりします。自分が飲んでいる薬がそもそも何のために薬なのかを知らない方も多くいます。
足の潰瘍は、糖尿病の状態がコントロールされていないと、改善されない場合が多いです。
多くの患者さんが、足の潰瘍と内科的な病気の関係は無いものだと思っていたりします。
自分の「血中のヘモグロビンA1C」の値を知りましょう。これは主治医の先生が血液検査のオーダーを出してくれるものです。糖尿病がある人は、この値が7%以下だとコントロールされていると言えます。(参考ウェブサイト:MSDマニュアル 家庭版 「糖尿病」)
上記の同僚を訪れた友人の方には、赤く腫れている状態は普通じゃないので、お医者さんに診てもらったほうがいいですよ、とお勧めしました。
過去の投稿: ■糖尿病性潰瘍の患者さんに、足のセルフケアは難しい #241