■ホームレスの人の「リンパ浮腫」 #127

ホームレスの患者さんで、「リンパ浮腫(lymphedema)」と診断された方がいて、最初にクリニックを訪れたのは1か月くらい前です。

この患者さんは、何年か前に交通事故に遭って怪我をして以来、身体の左半分がよく動かなくなって、基本的にいつも車椅子に乗っています。

背中から足にかけて痛みがあって、自分の手で自分の左足にまで届かないため、左足は、ほぼケアがされていない状態です。

更には、夜も車椅子で寝ているようなので、足を下げたままの状態が何年も続いていたようです。

左足の皮膚が厚くなって、英語で言う所の、「cobblestone like skin」という状態になって、更には、その一部(左足後ろのアキレス腱に近い部分)が割れて、感染症になってしまったようです。

cobblestone like

「cobblestone」。この地面みたいな肌ということです。

本人は、その箇所が見えないのですが、周りのホームレス仲間から「ちゃんと医者に診てもらった方がいいよ」と助言を受けた、と言ってクリニックにやってきました。

早めに受診してくれたために、創傷の箇所自体は割と初期の段階で治療できました。全体的な症状は長期的なものです。

治療

最初に訪れた際は、箇所を押すとドレイネージが溢れてきたのですが、Dakin’s Solution で割とグイグイって感じで洗浄+ガーゼパックをして、包帯でぐるぐる巻き+Cobanでぐるぐる巻き。包帯もCobanもテープで留めて、全体が緩まないようにします。

とにかく自分でケアできない訳なので、そういう方は、「bundle up」以外ありません。

ズボンで隠れているわけだし、見た目の悪さは、気にする必要もないし、とにかく次回までそのままの状態でいてもらわないと困る、という感じです。

これを2回したら(週に一回)、3cm x 1cmくらいの、開いた創傷は閉じて、ドレイネージも出なくなりました。

でも、まだ完全じゃないので、続けて週一でクリニックに来てもらいました。

クリニックは外に比べて涼しいので、喜んで来てくれて、「no show」の心配もなし、です。

毎回、Demethicone 3% 入りのワイプで足を拭いて、洗浄して、Cobanでコンプレッショをしていたら、1っか月でほとんど完治となりました。

そういうわけなので、もう週1ではなく、2週間、間を開けて、今日に至りました。

そうしたら、当然と言えば当然ですが、包帯もコンプレッションもされていなくて、創傷の口は開いてないし、押してもドレイネージは出てきませんが、状態としては、また前のような感じに戻っていました…。

包帯(kerlix)+Cobanがあると無いとでは大違いです。

と言うわけで、それ無しでは、またすぐに感染症にかかってしまうことがほぼ確実なので、一週間に一回の頻度でクリニックに来て、巻き直しを続けて行くしかないね、ということになりました。

リンパマッサージ

リンパ浮腫と言うと、マッサージが効果的であると、あちこちで聞きます。

リンパの流れに沿ってのマッサージで、訓練を受けた人にやってもらうか、家族が教えてもらって実践するか、ということになります。

が、クリニックでその話が出ることはまずありません。

このマッサージは、まだ、れっきとした、効果を立証できる文献がなく、そういうわけで、保険がおりないからです。

また、リンパ浮腫は、多くの場合、癌患者さんに起こることが多く(放射線治療が原因で)、そうなると、癌センターがある病院、ということになるので、私の勤務する病院ではあまり見かけない、ということになります。

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