■wet-to-dry ガーゼ・ドレッシング #116

wet-to-dryのガーゼドレッシングのことを、#115の中で出しているので、ここではちょっとガーゼの部分だけについて書いてみたいと思います。

1.購入場所

2.使用の際の注意点

3.ガーゼの代わりにカーリックス(Kerlix) – Gauze fluff roll

4.ガーゼを使用して、更に創傷の湿潤環境を保ちたい場合。Wet-to-dryでも湿潤環境の治療は可能。

1.ガーゼ(Gauze)の購入場所

ガーゼくらい、その辺のドラッグストアで売ってるに決まってる、とお思いでしょう。

でも、それがwovenのガーゼとなると、びっくりするくらい、どこにも売ってません。

都市部にはあるでしょうが、郡部にはありません。

ほぼアマゾン(Amazon.com)でしか買えないんじゃないかと思うくらい。

ちなみに、病院で使っているようなシンプルなNormal Saline(生食)も売ってません。

ガーゼは、アマゾン(Amazon.com)で、「Coviden woven gauze」で検索をかけると、いっぱい出てきます。

Wet-do-dry目的の場合は、「Woven」を選択します。

「Woven」Gauze 4"x4"

Gauze 4″x4″。でも、これは「Non-Woven」なので、駄目です。 (でも、創面に直接載せる目的じゃない場合は、その限りでありません。)

Woven Gauze 4"x4"

これは「Woven」。買うならこっちの「Woven」です。 私は個人的にはこのブランドは使用したことがありませんが、ポイントは、Woven か、non-Woven なので、これでもいいかと思います。


別にCovidenのブランドでなくても構いません。ただ単に、私の働く病院でそれを使っているので、その名前を入れただけです。他の会社のでも全く構いません。

「Pack of 200」と書いてあるのが、病院で「バルク」で使われているやつです。病院では、あまりsterile (無菌)にこだわらない場合にのみ、このバルクのガーゼを使用します。

実際は、Sterileにこだわらない場合のほうが断然多いです。が、病院や施設内で、バルクのパックを病室へ持っていくことはありません。

家庭では、一個一個のパッケージのガーゼでも良いですが、そうでなくても構いません。一個一個のパッケージは、開ける前は「sterile」の状態ですが、バルクのは基本的にそうではありません。でも、クリーンですし、それで十分です。一個のバルクのパッケージで$10-$13くらいなので、値段的にも、それが一番お勧めです。

wound care は、基本的に、sterileではありませんし、クリーンで充分です。
(創傷の状態によってはこの限りでありません)

サイズは、大(4”x4”)と小(2″x2″)があります。

2.ガーゼ使用の際の注意点

上で、woven と言っていますが、何故 woven が良くて、non-woven じゃいまいちなのか、と言うと、wet-to-dryのガーゼがドレナージを吸い取って傷床のslough tissue(黄色っぽい創床)を剥がしてくれるからで、non-wovenだと、その吸い取りがいまいち、というか、傷床にピタッと張り付いていない、からです。

でも、傷の状態によっては、あまり大差ない場合もあるので、手元にあるのがnon-wovenだけだったとしても、それ程、慌てなくても大丈夫です。きちんと交換することに意義があるというか、そんな感じです。

non-woven gauze

ちなみにこれは「non-woven」。

wet-to-dryは、そういうわけで、剥がす時に、まるでwax で皮膚の毛を剥がす時みたいに、(勢いは要りませんが)Normal Saline などで濡らしてから取る、とかじゃなくて、乾いたまま剥がします。

これをすると健康な細胞まで取ってしまう、というのがwet-to-dryが時代遅れと言われる理由です。が、細かい事は気にしないでいきましょう。医師のオーダーなんですしね!

明らかにSloughがなくて、wound bed が赤い(状態が良い)場合は、剥がすときにNormal saline でちょっと濡らしてあげると患者さんの痛みが軽減されます。

患者さんにとって、これがドレッシング交換で1番苦しいところだからです。

外科医の先生方は大体皆さん容赦なくガーゼを剥がすので、外来の予約がある患者さんは、「明日は事前に薬飲んで行かなきゃ」と、「学習」します。

ガーゼをハサミで切って使用する際は、端っこの糸くずが創傷面に落ちないように、中側に折って、直接当たらないようにします(英語で言う「タックイン」って感じですね)。この糸くずが、ドレッシング交換の際に傷床に残ったままの状態になっていると、インフェクションの原因になります。

4”よりも長めのサイズの創傷の上にかぶせる場合は、正方形(4×4)をペタペタ何個も置くのではなく、3つ折りになっているガーゼを広げて、長方形にして何枚か重ねて置くと、収まりが良く、ドレッシングがずれにくくなります。

ドレナージの量が多い場合は、ガーゼの上に、それこそ、non-wovenドレッシングを重ねたり、ドレイン用と書かれたドレッシングを重ねたりします。ABDというフカフカの布団みたいなドレッシングを重ねたりもします。(Abdominal dressing)ドレナージが多い場合は、ドレッシング交換は、一日二回に増やします。

医師によっては、「一日に三回取り替えて」と言う先生もいますが、三回というのは、家族の負担が大きくなるので、ちょっとドレッシング(ガーゼ等)を厚めに置いて交換は二回にしたほうがいいかと思います。一日に三回も交換していたら、家族の神経が持ちません。

それに、三回の交換が必要な創傷は、ガーゼドレッシングではなく、他の種類のドレッシングが必要な状態かもしれません。

また、あまりにドレナージの量が増えた場合には、インフェクションの可能性もありますので、言われるままに取り替えまくっていないで、「これってどうなの?」と思ってみて下さい。

3.ガーゼの代わりにカーリックス(Kerlix) – Gauze fluff roll

いわゆる包帯です。

別名を「Gauze fluff roll」と言います。

その名の通り、代わりと言っても、これもれっきとしたガーゼです。

Amazon.comで、「gauze fluff roll」で検索すると、出てきます。「Amazon choice」になってるのがそれっぽいfluffyな見た目です。

ブランドによって、微妙にFluffy感に違いはありますが、大体同じです。

病院で退院時に何個も持たせてくれたり、保険会社から大量に送られて来てしまった場合、これは、ガーゼの代わりに最適です(ガーゼですし!)。

大き目の創傷のパッキングには、このKerlixの方がいいくらいです。ガーゼだと何枚も必要だったりしますが、包帯状だと一つ(一本)のピースでまとまりもいいです。

また、ちょっと深い創傷、または見えにくい創傷には、基本的に「パッキングする/入れる」ガーゼは一枚です。取り残しがあったら大変なインフェクションになってしまうからです。

この場合は、どちらかと言うと、絶対にKerlix、となります。

Kerlux を使用する場合は、はさみで切って使うわけですが、前述のように、端っこの屑の取り扱いに気をつける必要があります。

4.ガーゼを使用して、更に創傷の湿潤環境を保ちたい場合。Wet-to-dryでも湿潤環境での治療。

細かい事を言えば、湿潤状態を保ったら、それは厳密には「wet-to-dry」とは呼ばないかもしれませんが…。

ガーゼの量を少なめにして、Normal Saline で湿らせたガーゼをwound bedに当て、それをフォームのドレッシングで覆います。

これをすると、wound bedがとても綺麗になる場合があります。

最初の状態がそれほど良くない場合は、Normal Salineでなく、Dakin’s Solution で洗浄(洗浄と言っても、濡らしたガーゼ(割とびちょびちょに)を手の平でしばらく押さえつける感じう。

そして、2×2”をの湿った (Dakin’s solution) ガーゼで、wound bedを覆い、それをフォームドレッシングで覆います。Mepilexあたりで。

このドレッシングだと、wet-to-dryだとしても毎日取り換える必要が無く(パイロナイダルシストとかはこれは駄目です。ちゃんと毎日1~2回)、ホームレスの患者さんや、自分でケアが出来ない患者さん(でもケアしてくれる家族もいない)等に適することが多いです。

自分でドレッシング交換が出来ない方の一年くらい治らなかったという創傷に、上記ドレッシングを施して1週間後。すっかり綺麗になりました。とは言え、状態がベストではなかったので、グラニュレーションがハイパー気味になっています。

一週間ドレッシング交換が不可の場合は、フォームドレッシングの上から、包帯(Kerlix)をちょっと巻いてCobanでラップして取れないようにします。あんまりきつく巻くと、どの患者さんも大抵嫌がって取ってしまうので、ほどほどの量と圧にします。