フロアの看護師から「ちょっと赤いだけなんだけど、見て」と言われる時、その「just redness. Just a little bit.」が本当にちょっとじゃない事が多くて、いつも、ホントにちょっとだったらいいな…と思いながら患者さんの部屋に行きます。
DTIなんですが、最近立て続けに似たようなケースが2件ありました。
DTIとはDeep Tissue Injuryの略で、Pressure Ulcer (injury) の種類の1つです。
似たようなケースと言っても、1人は、足の小指の横、そしてもう一人は、腰の部分で、場所は全然違います。
でも、共通点があって、それは、場所や原因とかじゃなくて、そのサイズです。
腰の人は、5㎝くらいの楕円形の水疱が出来ていて、見たときには既につぶれていたのですが、その楕円の円周上の端っこが0.3㎝ (3mm) 幅くらい紫色だったのです。
小さい紫部分が、水疱の大きさに比べてとても小さいので、看護師に、この端っこがDTIかな、と言うと「え~っ?!どこが?これが?」という反応をしました。そうなんですよね。小さい面積なので…その気持ち、わからないでもないです。
この水疱は、この患者さんが、その2,3日前くらいかな、ERを訪れていて、そこのベッドに4時間くらいいたようで、その後、水疱がある、ということだったので、その関係かもしれないと思います。が、とにかく、DTIも含むということで…。
もうお一方は、ステージ1の褥瘡の面積内に、小さな0.3cmの点状に近いくらいの小さな丸いDTIです。こちらの看護師の方は、新卒でしたので(関係ないかな!)「はい、はい、ステージ1とDTIですね、わかりました」みたいな淡々とした反応でした。
こんなに小さくても何故DTIにするのが大事かと言うと、DTIは、悪化してskin intactの状態が崩れたら、その先に待っているのは、ステージ3以上です。DTIは、肌の深い部分の炎症なので、サイズ云々関係無く、というより、悪化すると、大体サイズは大きくなって、wound bedがsloughに覆われたりします。
状態が良くなったら良くなったで、それはそれで全くいいのです。DTIだって、悪化するばかりじゃありません。
でも、DTIを見逃して、その後、悪化した場合、褥瘡のステージを進行させてしまった結果になった場合は、施設側のケアの責任になります。
DTIが出来た時点で、施設側のケアの責任なのですが、その他の体調(internal condition) から、褥瘡は避けられない場合もあるわけで、そういう説明も併せて記録しておかないといけません。
上記の水疱の方は、水疱部分は、その後間もなく治りましたが、DTI部分は、やはり1.0㎝弱程の丸いwoundになってしまって、wound bedはやはりSloughに覆われて、現在治療中です。
というわけで、DTIは、サイズに惑わされてはいけなくて、どんなに小さくてもDTIはDTIです。それを見逃すと後々大変です。何が後々大変なのでしょうか。州の監査が入った時、十中八九突っ込まれると思います。褥瘡は突っ込みどころ満載なのです。