病院で創傷ケアを担当するのは、大体の場合、外科医です。
足の専門医も、手術をします。そう言った意味では外科医とも言えるのですが、ケースマネージャーが「wound=general surgeon」という認識で、自動的に外科医に回してくることがほとんどです。
Med-surgに患者さんが入院する際、その患者さんの受け入れ医として「主治医」が付きます。その患者さんにwoundが有る場合、そしてそれが足にある場合は、主治医は外科医に「referral」を出すことが多いです。その場合、外科医 (general surgeon)にお願いするか、足の専門医(podiatrist) にお願いするかは、woundの状況によっても主治医によっても違います。
自分でさっさとデブリーメントをしてしまえる主治医も中にはいますが、主治医は何人もの患者さんの内科的症状をマネージしているので、忙しくてそんな暇はない、というのが現実です。
また、実際にデブリーメントをした医師が、その後も継続的にフォローアップで創傷ケアをしていけるので、そういう観点でも、主治医が時間を割いてやらなくてもいいか、となります。
身体の足以外の箇所に創傷が有る場合は、勿論、足の専門医にはならないので、一般外科医です。
が、足にあった場合は、「さて、どちらに…」となります。
結論を言うと、「糖尿病性の潰瘍」が足にある場合は、足の専門医のほうが良い、です。
理由1:角質除去。
糖尿病生の潰瘍は、潰瘍周りの角質を頻繁に削って除去する作業が必要なので、それをこまめにしてくれる足の専門医に診てもらうことで、潰瘍の治りが全く違います。角質はscalpel(ナイフ)で取るので、看護師は出来ません。州にもよりますが、看護師がギリギリできるのは、先端が丸くなっている「curette」の使用くらいです。これを一般の外科医にお願いすると、「は?」みたいな感じになります。
理由2:処方箋シューズ
糖尿病性の潰瘍がある患者さんは、年に一回程度、保険の適用内で、靴を専門店で作って貰えるのですが、これには医師のオーダーが必要です。一般の外科医はそのような仕事はしませんので、これは足の専門医にお願いするのが一番です。
理由3:フットケア
同時に足の爪もケアしてもらえる。糖尿病がある方は、足の病変の1つとして、足の爪が変形したり厚くなったりします。真菌症がある方も多いです。高齢者の方になると、自分で切るのは、もう極めて困難で、血だらけになったりします。また新たな創傷に発展してしまうじゃないですか…。
というわけで、Med-Surgに入院して来た患者さんに創傷があった場合、それが糖尿病性の潰瘍の場合は、リファーラルは足の専門医に出してもらえるよう主治医にお願いします。
余談
今週、足の一部と親指のamputationをした患者さんが入院していて、通常、一般外科医はあまりしないので、意外に思いました。その外科医曰く「いや、別に。以前はvascular surgeonだったしね」とのこと。
この同じ外科医の先生は、今日、ORで別の足の潰瘍のI&D (デブリーメント) があります。個人的にびっくりしたのが、クリニックの部屋で、その外科医が、患者さんに「爪もかなり変形してて長いよね。これだけ変形してて厚くて長かったら、自分で切るのは不可能だよね。OR(手術室)で一緒に切っちゃおうか(爪)」と言ったのでびっくりしました。思わず私が「ええっ!そんなことして下されるのですか?!」(←日本語おかしい)と聞いてしまいました。(英語で言ったら「can you do that?」くらいなのですが…。)
他の外科医はそのような「ついでに爪も…」のような事は絶対にしないので…。
手術(I&D) は今日の筈なので、手術室でどのように爪が切られてくるのか、興味深々です!