■高齢者のかかとのエスカー #82

入院してこられる高齢者に時々見られる創傷に、かかと部分のエスカーがあります。

エスカーと言うのは、黒くて硬くて、見た目が、かさぶたと呼ぶには厚すぎる…という感じの肌組織の壊死の状態です。

エスカーとかさぶた(scab)との相違点は、エスカーが、その下の肌が深い層の部分から壊死しているのに比べ、かさぶたは、肌はそのままで、肌の上に血液の塊が乗っている状態です。

エスカーは下、かさぶたは上、です。

家族は、「足を切断しないといけないですか?!」と慌てて病院に連れて来られます。

エスカーは、一般的には、乾いてて硬くて固定されている場合は、そのままにしておくのが一番安全です。感染を防ぐ目的で、iodine solution(ヨード液)をコーティングするのは構わないです。特にドレッシング材で覆う必要はなく、空気にさらして乾いたままにしておきます。

その周りの肌がめくれていたりする場合は、スキンバリアを塗ると程なく治ります。

困難になるのは、このかかとのエスカーがグラグラし出したら。通常はどの人も数㎝の幅があるので、エスカーが取れてくるとその後には深いくぼみの大きな創傷ができます。

そして、その過程があって、エスカーの周りから出るドレイネイジ(drainage)のケアが続きます。このエスカーと後に見るスラフを取り去るには、頻繁に壊死組織を取り去ってあげる必要があります。

この際、Santylではパワーが無さすぎるので、Iodosorb gelという茶色のペーストを使用します。これだと初期の頃、他にもエスカー部分がある場合、iodosorb gelと喧嘩にならないし、併用さえできます。

ただし、フロアナースもケアをするので、皆さん大体この茶色のペーストを嫌がります。名前はGELですが、実際はペースト状です。翌日になると、茶色のペーストは白く変色するのですが、この白く変色したペーストをスラフと思い、スラフが増えてる、と記録したり、このIodosorb の独特な臭いを、創傷の悪臭として記録したり、直接、このケアは一体何なのか、と苦情を言ってきたり、悩ましい創傷なのです。

臭いが出てきたら、Dakin’s solution を使用すると効果的です。

更に、このエスカーが剥がれ始めると、そこはバクテリアの入り口、port of entryとなって、骨髄炎(osteomyelitis)のリスクが高くなります。一旦骨髄炎になってしまうと治りが遅いばかりか、高齢者に長い間抗生物質の治療を強いることになってしまいます。そういう意味でも、毎日しっかり治療していかないといけません。高齢者の方の家庭でこれをするのはかなり難しいと思います。術的に取り除かない場合、施設でさえも、治るのには半年以上かかります。

糖尿病の患者さんが毎日足をチェックしなければいけないように、高齢者の方の足、特にかかとの肌のチェックは毎日行う必要があります。足は一旦創傷が出来ると、とても治りにくいです。

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