■オプション1
■オプション2
■オプション3
■結局
Med-Surgの看護師から電話があって、「ドクターが、何かシルバーのアブソーブ(吸い込み)するドレッシングを持ってきて、って言っている」と言うので、何が何だかわからないけど、とりあえず、Alginateのドレッシングとフォームのドレッシングを2,3個持って行ってみました。
行く前には、通常、コンピュータ上で、患者さんの病状とかをざっと確認していきますが、あまり内容が噛み合わなかったので、とりあえず、行ってみた次第です。
患者さんの部屋に行ってみたら、腿の付け根(groin)と、下腹の肌が全体的にジュクジュクしていて、何か所か、肌が剥けて傷状になっている箇所もあります。
ドレイネージがあるので、ということで、その箇所には枕カバーが当ててありました。
まず… 枕カバーは駄目です。
枕カバーは、吸うというより… 吸ってもそれを交換しなければ、そのまま、肌に当たったままなので、逆に肌がやられてしまいます。
それではどうすれば良いのか。
対処オプションが何個かあります。
■オプション1 「InterDry 又は InterDry + silver」
ロールに巻かれた、しなやかな布という感じです。布の表面にシルバーのコーティングがされていて、antimicrobialの効果があります。
誰か他の方の意見を聞いてみたいのですが、これが、患者さんのジュクジュク肌に効果的に収まっていたためしは過去にありません。
前任者が残して置いていたので、たまに「興味があるのなら使ってみて」的に使用したりしますが、ほぼ、その箇所にそのまま収まっていないです。患者さんも動きますし、動くと、それははずれてどこかに行ってしまいます。
これがきちんと「クリ―ス(段々腹ですね)」に収まって、効果を発揮するためには、ある程度の大きさの段々のお腹と、比較的ベッドに寝たきりでいる状態が必要になります。
更に、これは、高価な品です。
1ロールが、大体$150くらいします。切る量や回数で計算すると、ドレッシング換算ではそれほどしないかもしれませんが、ロールが1アイテム、というイメージで取られると、「え!高い!」となります。
切って使うのですが、看護師によって使い方もまちまちで(看護師はいちいちオーダーをちゃんと読まない人がほとんど)、小さな布ッぱしをあてがってる状態だったり、無駄に大きな面積で切ってあてていたりします。
というわけで、これを買って欲しいとはお願いできないです。
■オプション2 「Ultrasorbs Dry Sheet」
これは、Medline社が出しているシートで、インタードライに対して、という感じです。
という感じですが、モノは、全然違います。
表面はサラサラシート、という感じですが、中を見ると、裁縫に使う接着芯みたいな物が入っています。
使い方は、InterDryと同じコンセプトです。というわけで「うーーーん」というところ。
価格は安いです。10枚くらい入って(大きさも結構大きい)、$10くらい。このシートは、他にもっといい使い方があるんじゃないかな、と思ったりもするのですが…。
■オプション3 「Calazime」
Zinc Oxide の白いペーストです。時々、静脈性潰瘍などで、広範囲にわたってジュクジュクがある患者さんなどに、ドレッシングではなく、このペーストを使用することがあります。
これは、睾丸や、肛門近くなど、ドレッシングがなかなか使用できな箇所に使用することが多いです。そして効果的です。
難は、なかなか看護師に、正しい使い方が浸透しないことです。一般のスキンケア用のクリームなどは、薄い膜でいいのですが、病室を訪れたら、薄~く塗られてて、「これは効果が無い」と言っていました。割ともっと量を塗らないといけないのです。
そして、その次に行ったら、今度は、看護師が次のを塗るために、先に塗った分を綺麗に拭き取っていました。それをする必要はないのです。それをすると却って肌を痛めてしまいます。
オーダーに盛り込んでも読んでもらえないのがちょっと難…。
価格は安価です。チューブ1本が4ドル以下です。
■オプション4 「Stoma Powder + Cavilon Skin-barrier」
これは、主にストーマ(人工肛門)用にあるアイテムですが、使用目的は同じです。
Skin barrierとレイヤー状に合わせて使うことを、オストミー用語で「パンケーキ」と言います(ストーマを使用している人達がニックネーム的に使う用語です)。
パウダーだけでもいいし、スキンバリアだけでもいいし、合わせてパンケーキにしてもいいし、です。パウダーがジュクジュクを閉じ込めてくれます。
パウダーは、ボトルのお腹を押して、噴射するイメージで使用します。すると、薄い膜状にかけることができます。ボトルを振り下ろすと、ボタッと粉の塊が落ちて、使用の仕方によっては、ジュクジュクと混ざってますます大変な状態なることもあります。
このストーマパウダーもお手頃な価格です。7ドルくらい。毎回使用するスキンバリアの方が高いくらいです。
■結局 Calazime → Powder + Skin-barrier
最初の2,3日は、病室で、Calazime pasteを使用して、皮がむけて傷状になった箇所は、全て、消えて、肌が「intact」な状態になりました。
3日で退院なので(この患者さんは、内蔵の疾患があるので、その後専門医の所に行かれます)、退院後はどうするかな、と思いましたが、仕事に行くということで、どう考えても、Zinc Oxide のペーストは、現実的ではないです。
というわけで、パウダーとスキンバリアで、パンケーキ状にして、ケアを続けていただくことになりました。