ここの所、立て続けにTattoo関連のCellulitisの患者さんがいます。
患者さんのケアをするにあたっては「このwoundは、どのようにして出来たのですか?」と、その経緯を尋ねます。ケア目的の他に、創傷が出来た理由によっては、同じ創傷をまた繰り返さないように、生活の中で気を付けること等の話が出来るからです。
この度、Tattoo関連のCellulitis患者さん2人に共通点がありましたので、書いてみたいと思います。
その共通点とは、(1)腕や足の殆どの肌がTattooで覆われている、ということと(2)Tattooのある肌を「シャワー中にゴシゴシ洗った」でした。
1人は腕で、もう1人は脚です。
肌にTattooがあっても、肌の状態はすべすべで、触った感じはTattooがない肌と変わりません。しかし、以前のブログ(#259)でも書いた通り、肌を構成している層である上皮と真皮の間にはTattooのインクが入っていて、そのため、通常の肌よりもろいです。
通常の自然の肌は、肌の細胞が傷ついた際、免疫細胞がすぐさま集まって来て、外敵と戦ってくれますが、Tattooの入った肌は免疫細胞が働きは100%の保障ができません。
シャワー中に肌をゴシゴシこすった際、少し「abrasion(擦り傷)」の状態になったら、そこからバクテリアは簡単に侵入できます。でも、Tattooのある肌は、いろいろな柄や色で覆われていますので、擦り傷が少し出来たくらいでは、パッと見ではわかりにくいです。
肌にTattooが入っている方は、入浴時は出来るだけ優しく洗うようにしてください。
また、このお二人の患者さん達とは別に、もう1人のCellulitisの患者さんは、ガレージでツールを落とした際、肌にちょっとだけツールがかすっただけだった、と言っていました。
ちょっとだけ工具がかすったとしたら、切り傷か擦り傷に近い状態、いわゆる「かすり傷」です。それでも、工具というのは、錆がついている場合も多く、その場合は、Cellulitisどころか、破傷風菌に感染することもあります。
破傷風菌予防として、破傷風ワクチンというワクチンがあります。破傷風ワクチンは、高い効果が得られるワクチンです。土や工具を多く扱う仕事の方は、是非、破傷風ワクチンの予防接種をして下さい。詳しくはこちらのサイトを参照下さい。サイトは「海外勤務」云々という内容になっていますが、破傷風に関しての説明がわかりやすく載っていますので、参考にしてみて下さい。
最後にもう一度… Tattooが入った肌はゴシゴシ洗わず、優しくケアしてください。また、小さな傷も見逃さないようにお願いします。
小さな傷が出来たら、石鹸で洗い流し、清潔に保って下さい。赤味が増したり、腫れたり、ドレイネイジ(液体)が出て来た場合は(特に黄色などの)、出来るだけ早く医療機関を受診するようにしてください。
多くの方は、「どうしてもっと早い段階で来てくれなかったのかな」という状態で受診されます。創傷は早ければ早いほど、処置も簡単に済みます。
肌は「臓器」です。大事にしてくださいね。