■ホームレメディ #261

国に関係無く、ホームレメディは存在します。それなりに効くので、おばあちゃんの知恵袋的に、良くも悪くもホームレメディはなくなりません。むしろ、益々注目が集まっていると言っても過言ではないくらいです。

今週、火傷で入院されたヒスパニック系の女性は、火傷とCellulitis(蜂巣炎)両方の診断がありました。私が行った時には、既に手術室に向かうガーニー(ストレッチャー)の上だったので詳細はわかりませんが、ちらっと見たら、4㎝くらいの黄色い水疱が右脚に何個もありました。

聞いたら、脚が赤く腫れていたため「arnica infused water」で入浴してみたら、お湯が熱すぎて火傷に発展した、とのこと。アルニカと呼ばれるお茶を煎じてお風呂に入れたようでした。

火傷は温度なので、お茶を入れること自体は実際は関係ないわけですが、アルニカが痛みや腫れなどに一般家庭で使用されているということです。

症状は、言う通りに火傷かもしれないし、またはお風呂の水の温度に関係なく、蜂巣炎の悪化の可能性もあります。が、それは置いといて…

arnica wild flower
Arnica Wild Flower

arnica というのは植物で、筋肉の痛みや緊張を和らげたりするのに効果があると言われていて、広く商品化されています。クリームや、スプレイ、バスソルトやエッセンスオイルなど、様々な形で商品化されたものが市販で売られています。

上記の患者さんは、赤くて腫れがある足のために、飲み物用のティーバッグを煎じたものをお風呂に入れて入ったとのことでした。

外来の患者さんでも、潰瘍の治りに時間がかかるということで、エプソンソルトで入浴したらちょっとは早く治るかしら、としょっちゅう言う患者さんがいます。その度に、潰瘍があるうちは、そういうのはやめた方がいい、と言うのですが、残念ながら聞こえてないのかな~、という感じです。その心理は理解できます。

蜂巣炎というのは、通常、皮膚のどこかが破れ、そこから菌が入っておこりますが、その箇所が小さいと見逃したりします。そして、赤味や腫れがある足のためにお風呂に何か入れて入ったら良くなるかしら、という発想になりがちです。

入浴剤の類は、肌が「intact」の状態で、しかも症状が初期の場合には良いと思いますが、「あれ、何だかおかしいな」と思われる場合は、ホームレメディに頼らず、迷わず病院を受診して欲しいです。症状は急速に悪化することもあります。傷口があって、赤味や腫れがある場合は、既に皮膚の感染が始まっている場合もあるので、お風呂に何かを入れて入浴するというのは危険です。

また、糖尿病があって、足の皮膚の感覚が鈍くなっている場合は、上記の患者さんのように火傷を負う危険性が高くなります。お風呂の温度には十分注意が必要です。裸足で砂浜を歩いたりするのもとても危険です。

ちなみに、上記患者さんは、necrotic skin tissue を全て取り除き、Acute のCellulitis の治療をするために入院中です。